HER2+進行乳がんへのペルツズマブ再投与でPFS延長(PRECIOUS)/SABCS2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/12/23

 

 ペルツズマブ、トラスツズマブ、および化学療法治療歴のある、局所進行または転移を有するHER2陽性乳がんに対し、3次/4次治療としてのペルツズマブ再投与が無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告された。熊本大学の山本 豊氏が、第III相JBCRG-M05(PRECIOUS)試験の結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。

・対象:1次/2次治療としてペルツズマブ、トラスツズマブ、および化学療法による治療歴のある局所進行または転移を有するHER2陽性乳がん(ECOG PS 0-2、治療歴<4レジメン[直近のレジメンでペルツズマブ投与なし]、ベースライン時のLVEF≧50%)217例
・試験群:ペルツズマブ+トラスツズマブ+主治医選択による化学療法 108例
・対照群:トラスツズマブ+主治医選択による化学療法 109例
*ドセタキセル、パクリタキセル、ナブパクリタキセル、ビノレルビン、エリブリン、カペシタビン、ゲムシタビンから選択
・評価項目:
[主要評価項目]治験責任医師評価による無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]独立レビュアー評価によるPFS、直近のレジメンでT-DM1が投与された患者のPFS、全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、健康関連QOL(HR-QoL)、安全性

 主な結果は以下のとおり。

・2015年10月~2018年12月に、日本国内の93施設から219例を登録。217例(ペルツズマブ群108例、対照群109例)が解析対象とされた。
・ベースライン時の患者特性は、年齢中央値:ペルツズマブ群57歳 vs.対象群60歳、ECOG PS 0:72.2% vs.67.0%、化学療法歴(2ライン:56.5% vs.59.6%、3ライン:42.6% vs.38.5%)、抗HER2療法歴(ペルツズマブ:両群とも99.1%、トラスツズマブ:両群とも99.1%、T-DM1:96.3% vs.99.1%、ラパチニブ:13.9% vs.13.8%)。
・主要評価項目である治験責任医師評価によるPFS中央値(追跡期間中央値14.2ヵ月)は、ペルツズマブ群5.3ヵ月 vs.対照群4.2ヵ月(ハザード比[HR]:0.755[片側95%CI上限:0.967]、片側p[層別log-rank検定]=0.0217)となり、ペルツズマブ群で有意な改善がみられた。
・直近のレジメンでT-DM1投与を受けた患者におけるPFS中央値は、ペルツズマブ群5.3ヵ月 vs.対照群4.2ヵ月(HR:0.801[片側95%CI上限:1.061]、片側層別log-rank検定p=0.0952)であった。
・OS中央値は、ペルツズマブ群28.8ヵ月 vs. 対照群23.4ヵ月(HR:0.713[片側95%CI上限:1.026]、片側層別log-rank検定p = 0.062)。さらなるフォローアップが必要だが、ペルツズマブ群でより長くなる傾向がみられた。
・測定可能病変を有する患者におけるORRは、ペルツズマブ群(90例)18.9% vs.対照群(92例)19.6%で、差はみられなかった。
・重篤な有害事象の発生率について両群で差はみられなかった(17.9% vs.21.3%)。また、心血管イベントを含む新たな安全性シグナルは検出されていない。
・FACT-Bスコアを用いたHR-QoLの評価においても、両群に有意な差はみられなかった。

(ケアネット 遊佐 なつみ)

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