抗PD-1抗体ペムブロリズマブについて、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/ミスマッチ修復機能欠損(dMMR)の進行大腸がんの1次治療における有効性が示された。化学療法と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、治療関連有害事象は少ないことを、フランス・ソルボンヌ大学のThierry Andre氏らが無作為化非盲検第III相試験「KEYNOTE-177試験」で明らかにした。これまでに、既治療のMSI-H/dMMR腫瘍に対するPD-1阻害の臨床的有効性は示されているが、MSI-H/dMMR陽性の進行・転移を有する大腸がんに対する1次治療として、化学療法と比較した有効性は明らかになっていなかった。NEJM誌2020年12月3日号掲載の報告。
研究グループは未治療のMSI-H/dMMR陽性・転移を有する大腸がん患者307例を、ペムブロリズマブ(200mg、3週ごと投与)群または化学療法(5-FU併用療法±ベバシズマブまたはセツキシマブ、2週ごと投与)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。
化学療法群では、病勢進行後にペムブロリズマブ群へのクロスオーバーを可とした。
主要評価項目は2つで、PFSおよび全生存(OS)であった。
主な結果は以下のとおり。
・第2回の中間解析時、追跡期間中央値32.4ヵ月において、ペムブロリズマブ群は化学療法群と比較しPFSが有意に延長していた(中央値16.5ヵ月vs.8.2ヵ月、ハザード比[HR]:0.60、95%信頼区間[CI]:0.45~0.80、p=0.0002)。
・追跡期間24ヵ月後の推定restricted mean survivalは、ペムブロリズマブ群13.7ヵ月vs.化学療法群10.8ヵ月であった。
・データカットオフ日の時点で、ペムブロリズマブ群56例、化学療法群69例が死亡した。これは必要イベント数の66%で、OSについての評価は現在も進行中であり、最終解析まで盲検化されたままである。
・奏効率は、ペムブロリズマブ群43.8%、化学療法群33.1%であった。奏効が得られた患者における24ヵ月後の奏効持続率は、化学療法群の35%に対し、ペムブロリズマブ群は83%であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群22%、化学療法群66%(死亡1例を含む)であった。
(ケアネット)