BRCA1もしくはBRCA2変異キャリアの60~80歳の乳がんリスクについて、カナダ・Toronto-Sunnybrook Regional Cancer CenterのNeda Stjepanovic氏らの遺伝性乳がん臨床研究グループが大規模前向き研究を実施した結果、どちらの変異キャリアにおいても60歳以降も乳がん発症リスクは高いままであることが示された。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2021年1月10日号に掲載。
本研究の被験者は、60歳時にがん既往歴がなく両側とも乳房の手術をしていない女性699人。乳がんの診断、予防的な両側乳房切除術、もしくは死亡するまで追跡し、60~80歳における乳がん(浸潤性およびin situ)の年発生率と累積発生率を計算した。また、ホルモン補充療法、乳がん家族歴、両側卵巣摘出術と乳がんリスクとの関連を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間7.9年間に、61例が浸潤性乳がん、20例がin situ乳がんと診断された。
・浸潤性乳がんの平均年発生率は、BRCA1変異キャリアで1.8%、BRCA2変異キャリアで1.7%だった。
・60~80歳の浸潤性乳がんの累積リスクは、BRCA1変異キャリアで20.1%、BRCA2変異キャリアで17.3%であった。
・ホルモン補充療法、家族歴および卵巣摘出術は、乳がんリスクとは関連していなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)