カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を標的とするモノクローナル抗体は、片頭痛の予防に対する有効性および安全性が示されている薬剤である。臨床試験では治療反応群と非反応群が存在しているが、有効性の評価では両群の平均値を用いる。そのため、治療反応群における臨床的ベネフィットについての情報が十分に評価されていない。治療反応がみられる患者における臨床的な改善度を明らかにすることは、臨床医と患者にとって重要なポイントである。米国・トーマス・ジェファソン大学のStephen D. Silberstein氏らは、ヒト化モノクローナル抗体fremanezumabにより治療反応がみられた患者における臨床的ベネフィットを明らかにするため、2つの第III相HALO臨床試験の事後分析を実施した。The Journal of Headache and Pain誌2021年1月7日号の報告。
反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)を有する患者を対象に、fremanezumabの四半期(fremanezumab 675mg vs.プラセボvs.プラセボ)または月1回(EM患者[fremanezumab 225mg vs.225mg vs.225mg]、CM患者[fremanezumab 675mg vs.225mg vs.225mg])投与を行った12週間のランダム化二重盲検プラセボ対照HALO EM臨床試験およびHALO CM臨床試験の事後分析を実施した。治療反応の定義は、月間の片頭痛日数がEM患者で2日以上減少、CM患者で4日以上減少とした。治療効果として、毎月の片頭痛日数の減少、急性頭痛薬の使用、片頭痛関連障害、健康関連QOLの変化を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・HALO臨床試験の治療反応患者は、全体で857例であった(EM患者:429例[73.8%]、CM患者:428例[56.7%])。
・月間の平均片頭痛日数が50%以上減少した患者の割合は、HALO臨床試験に参加した全患者の場合よりも、治療反応患者のみの場合のほうがより高かった(EM四半期:59.8%、EM月次:63.7%、CM四半期:52.8%、CM月次:59.0%)。
・EMおよびCMの治療反応患者では、全患者と比較し、急性頭痛薬の平均使用日数の減少、片頭痛関連障害スコアの大幅な減少、健康関連QOLの大幅な改善が認められた。
著者らは「fremanezumab治療反応患者では、評価したすべての治療効果において、臨床的に有意義な改善が認められており、臨床試験で示されている数値以上に、副次的効果が期待できるであろう」としている。
(鷹野 敦夫)