次世代シークエンス(NGS)はすべての進行固形がんにおいて有用であることを、米国・ミシガン大学のErin F. Cobain氏らがコホート研究の結果で示した。NGSは治療選択に有用な標的ゲノムを特定することから、進行固形がんの日常診療で用いられるようになっているが、この検査の臨床的有用性は不確かなままであった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。
研究グループは、どのような患者がNGSプロファイリングから最大の臨床的有益性を得られるかを明らかにする目的で、コホート研究を行った。対象は、腫瘍および正常DNAのゲノムプロファイリング(1,700遺伝子の解析を伴う全エクソームキャプチャまたはターゲットキャプチャ)と腫瘍トランスクリプトーム(RNA)シークエンスのために、新鮮な腫瘍生検および血液採取を受けた患者。被験者に体細胞および生殖細胞系列のゲノム変化についてアノテーションを実施し、臨床的な治療選択の可能性の程度に従って分類した。結果は、治療を担う腫瘍専門医に報告された。
解析は2011年5月1日~2020年4月30日に実施された。医療記録から患者のその後の治療法と治療効果について調査し、NGSに基づいた治療の6ヵ月時の臨床的ベネフィット率、および12ヵ月以上持続する奏効を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・2011年5月1日~2018年2月28日に、1,138例が統合的ゲノムプロファイリングのため生検を受けた。
・1,138例中1,015例(89.2%)がNGS検査に成功した。
・1,015例のうち、治療選択に有用なゲノム変化が検出されたのは817例(80.5%)であった。
・817例中132例(16.2%)がNGSに基づいた治療を受けた。このうち49例(37.1%)で臨床的ベネフィットが得られ、26例(19.7%)で12ヵ月以上持続する奏効が観察された。
・生殖細胞系列の遺伝子変異(PGV)は、治療に関連するPGVを有する49例(コホートの4.8%)を含む160例(コホートの15.8%)で同定された。
・原発不明がんを有する55例において、NGSにより28例(50.9%)で原発部位が同定され、13例でNGSに基づいた治療が行われた。そして13例中7例(53.8%)で臨床的ベネフィットが得られ、そのうち5例で12ヵ月以上持続する奏効が観察された。
(ケアネット)