小児や青年における注意欠如多動症(ADHD)の発見において親または教師の診断精度および親と教師における診断や症状の一致率について、トルコ・エーゲ大学のAkin Tahillioglu氏らが調査を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2021年2月22日号の報告。
ADHD診断が行われていないコミュニティサンプルより6~14歳の小児および青年417人を対象に、半構造化された親および教師のADHD Rating Scale-IVを用いて評価を行った。ADHDの診断を確実にするため、障害の基準を考慮した。各カテゴリーのサンプルより、感度、特異性、陽性予測値、陰性予測値、診断精度の測定値を算出した。そのうえで、親および教師の報告内容の一致率を調査した。
主な結果は以下のとおり。
・ADHDの診断精度は、親と教師で同程度であった。
・男児、女児それぞれにおける親と教師の診断精度に差は認められなかった。
・女児では、男児よりも、親と教師の診断精度が高かった。
・教育レベルの低い親では、教育レベルの高い親および教師よりも診断精度が低かった。
・親と教師の報告には、低~中程度の一致と相関が認められた。
著者らは「ADHDの診断精度は、親と教師で同程度であった。しかし、子供の性別や親の教育レベルがADHD診断精度に影響を及ぼす可能性が示唆された。臨床医は、正確なADHD診断を行うために、親と教師の報告を評価することは重要であろう」としている。
(鷹野 敦夫)