うつ病に対するプロバイオティクスの有効性、安全性

提供元:ケアネット

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公開日:2021/04/06

 

 プロバイオティクス(腸内細菌叢)は、脳腸軸の活性を通じて、気分障害や不安症に関連する症状を改善することが、多くの研究で報告されている。しかし、治療歴のないうつ病患者を対象としてプロバイオティクスの効果を検討した試験は行われていなかった。カナダ・クイーンズ大学のCaroline J. K. Wallace氏らは、治療歴のないうつ病患者10例を対象にプロバイオティクス投与前後の抑うつ症状の変化を調査するため、8週間オープンラベル試験を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年2月15日号の報告。

 対象患者は、カナダ・オンタリオ州キングストンの住民より募集した。プロバイオティクス製剤(Cerebiome)を3×109CFUで1日1回、8週間投与した。うつ症状は、検証済みの臨床尺度と自己報告アンケート(CAN-BINDプロトコール)を用いて評価した。データは、ベースライン時、4、8週目に収集した。

 主な結果は以下のとおり。

・感情障害の改善は、投与4週目で観察され、8週目まで持続した。
・主観的な睡眠の質の改善は、8週目までに認められた。
・プロバイオティクスに関連した有害事象は認められなかった。

 著者らは「本研究では、治療歴のない中等度のうつ病患者に対するプロバイオティクスの有効性および忍容性が示唆されが、さらに包括的な研究を通じて、結論を導き出す必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)