ファイザー製ワクチン、感染報告率の低下は接種後何日から?/感染研

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/21

 

 ファイザー製の新型コロナワクチンBNT162b2は、国内では2021年2月14日に薬事承認され、2月17日から医療従事者を対象とした先行接種が開始となった。国立感染症研究所は、先のワクチンの臨床的効果を迅速に評価するため、既存のサーベイランスデータを用いた仮想コホートを構成し、1回目接種後のCOVID-19報告率の変化を検討した(追跡期間は2021年4月30日まで)。その結果、報告率は1回目接種日から12日前後を境に低下する傾向がみられ、接種後0~13日の報告率と比較すると、14~20日で0.42倍、21~27日で0.39倍、28日以降で0.14倍であった。イスラエルで行われた先行研究では、1回目接種後から2回目接種までの期間のCOVID-19報告の抑制効果(VE)は46~60%と報告されており、本結果はそれと同等である可能性があるという。

 本研究では、ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)と新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)のデータを用いて分析を行った。V-SYSのワクチン接種実績記録からワクチン被接種者の仮想コホートを構成し、HER-SYSのワクチン接種歴が記録されたCOVID-19患者のデータを、1回目のワクチン接種日と都道府県に基づいて突合した。

 解析対象は、医療従事者への先行接種が開始された2021年2月17日から高齢者への接種開始前の4月11日までの期間に、新型コロナワクチンを少なくとも1回接種した医療従事者とした。主要評価項目は、報告されたCOVID-19症例の診断日で、副次評価項目は報告時有症状例の診断日と報告時無症状例の診断日。

 主な結果は以下の通り。

・観察期間中、医療従事者110万1,698人に対し1回目の新型コロナワクチン接種が実施され、このうち4月30日時点で2回目の接種終了者は104万2,998人(94.7%)だった。
・4月30日までにHER-SYSに登録され、少なくとも1回のワクチン接種歴が記録されているCOVID-19症例は282例だった。
・発症日がワクチン接種前だった1例を除く281例中、ワクチン接種後28日以内に診断された症例は256例(91.1%)だった。症例は、女性および20~40歳代が約7割を占めていた。
・2回目の接種後に診断された症例は全体の16.7%で、このうち報告時無症状例が占める割合は40.7%、1回目接種後に診断された症例に占める報告時無症状例の割合(20.0%)より高い傾向にあった。
・COVID-19報告率は、接種後0~13日が1.26/10万人日、14~20日が0.53/10万人日、21~27日が0.49 /10万人日、28日以降が0.18/10万人日だった。
・接種後0~13日の報告率と比較した報告率比は、14~20日が0.42倍(95%CI:0.30~0.59)、21~27日が0.39倍(95%CI:0.27~0.56)、28日以降が0.14倍(95%CI:0.09~0.21)だった。報告時有症状例に比べ、報告時無症状例の報告率は全期間において低かった。

(ケアネット 鄭 優子)