COVID-19で長期持続する症状の頻度や種類、重症度についてはまだよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のTahmina Nasserie氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状の頻度と多様性を調べた研究の系統的レビューを実施した結果、COVID-19の症状は一般的に感染急性期が過ぎても持続し、健康関連機能とQOLに影響を与えることがわかった。少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合は72.5%(中央値)であった。JAMA Network Open誌2021年5月26日号に掲載。
著者らは、2020年1月1日~2021年3月11日に公開されたSARS-CoV-2感染後の持続的な症状を調べた研究をPubMedとWeb of Scienceで検索した。持続的な症状の定義は、診断/発症/入院後の少なくとも60日間、または急性疾患からの回復/退院後少なくとも30日間持続する症状とした。SARS-CoV-2感染者の持続的な症状の有症率を報告し、明確に定義された十分なフォローアップが行われたコホート研究の1次データを提示しているすべての英語文献を含めた。症例報告、症例シリーズ、発症時や入院時のみの症状を記載した研究は除外した。構造化されたフレームワークで研究の質を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・特定された1,974研究のうち適格とされたのは47研究で、84の臨床症状を報告した45報の研究について系統的レビューを実施した。
・9,751例のうち男性が5,266例(54.0%)で、45研究のうち30研究で年齢の平均値または中央値が60歳未満だった。
・16研究(ほとんどが入院していた症例での研究)のうち、少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合の中央値は72.5%(四分位範囲[IQR]:55.0~80.0)だった。
・頻度が高い症状は、息切れまたは呼吸困難(26研究、頻度の中央値:36.0%、IQR:27.6~50.0)、倦怠感または疲労感(25研究、頻度の中央値:40.0%、IQR:31.0~57.0)、睡眠障害または不眠症(8研究、頻度の中央値:29.4%、IQR:24.4~33.0)だった。
・研究のデザインと質には大きなばらつきがあり、主なデザインの違いは、患者集団、観察開始時期の定義、観察期間の長さ、重症度の定義などのアウトカムの定義であった。
(ケアネット 金沢 浩子)