早期発症の統合失調症患者(EOS)では、臨床経過がより不良となることがこれまでの研究で報告されているが、研究結果には不均一性が存在する。イタリア・University School of Medicine Federico IIのFelice Iasevoli氏らは、治療抵抗性統合失調症(TRS)と発症年齢との関連について、調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2021年5月16日号の報告。
非情動性精神疾患患者197例をスクリーニングした。そのうち、統合失調症に罹患していた99例はTRSの可能性があり、抗精神病薬の治療反応を評価するための4~8週間プロスペクティブ研究に登録された。発症年齢(18歳以下:EOS、18歳以上:AOS)と治療抵抗性の状態により、対象患者を4群(EOS-TRS、EOS-nonTRS、AOS-TRS、AOS-nonTRS)に分類した。複数の臨床変数を測定し、年齢を共変量として用いて共分散分析(ANCOVA)による比較を行った。統計学的に有意な差が、治療抵抗性の状態または発症年齢に起因するかを評価するため、二元配置分散分析(ANOVA)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・TRS患者の割合は、AOSよりもEOSで有意に高かった。
・ANCOVAでは、EOS-TRS群はそれ以外の群と比較し、臨床アウトカム、認知機能アウトカム、心理社会的アウトカムが有意に不良であった。
・全体として、EOS-TRS群では、EOS-nonTRS群よりも機能が損なわれていたが、AOS-TRS群との有意差は、かなりの程度で認められるものの、一貫性が低下した。
・ANOVAでは、調査した変数の大部分において、群間の有意差は、発症年齢や複合的な作用ではなく、治療抵抗性の状態に起因していた。
著者らは「一般的な神経生理学のアウトカムとして、抗精神病薬に対する治療抵抗性は、精神疾患の早期発症と強く相関する可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)