BCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブは、前治療に治療抵抗性または不耐容の慢性期(CP)の慢性骨髄性白血病(CML)に対し、1日45mgから投与を開始し、BCR-ABL1IS≦1%を達成した時点で15mgに減量する投与量調整レジメンが最適であることが、第II相「OPTIC試験」で示され、米国・オーガスタ大学ジョージアがんセンターのJorge Cortes氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)で発表した。
第II相OPTIC試験は、ポナチニブの有効性と安全性の最適化を目的として、3用量(45mg、30mg、15mg)から投与を開始し奏効に基づき投与量を調整するレジメンをプロスペクティブに評価する無作為化非盲検試験である。中間解析で、1日45mgから投与を開始する投与量調整レジメンの有効性と安全性が示され、すでに昨年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で報告されていた。また、中間解析結果に基づき、FDAは治療抵抗性または不耐容のCP-CML患者への本投与量調整レジメンを承認している。今回は、観察期間中央値32ヵ月(最低12.8ヵ月)の主要解析結果が報告された。
・対象:2種類以上のTKIによる前治療に抵抗性または不耐容を示す、またはBCR-ABL1 T315I変異陽性のCP-CML成人患者283例
・試験群:
ポナチニブ 1日45mg→1日15mg投与(45mg→15mg群)94例
ポナチニブ 1日30mg→1日15mg投与(30mg→15mg群)94例
ポナチニブ 1日15mg投与(15mg群)94例
BCR-ABL1IS≦1%を達成した時点で15mgに減量
・評価項目:
[主要評価項目]12ヵ月時点でのBCR-ABL1IS≦1%達成
[副次評価項目]12ヵ月および24ヵ月時点での分子遺伝学的大奏効(MMR)、12ヵ月までの細胞遺伝学的大奏効(MCyR)、MMRの期間、安全性
主な結果は以下のとおり。
・データカットカットオフ日(2020年5月31日、追跡期間中央値32ヵ月)の時点で、45mg→15mg群は50例(53%)、30mg→15mg群は41例(43%)、15mg群は43例(46%)が治療を継続していた。
・12ヵ月時点でのBCR-ABL1IS≦1%達成率は、45mg→15mg群44.1%(41/93例)、30mg→15mg群29.0%(27/93例)、15mg群23.1%(21/91例)で、45mg→15mg群が主要評価項目を達成した(p<0.017)。
・24ヵ月時点までではそれぞれ55.9%、37.6%、33.0%であった。
・BCR-ABL1IS≦1%達成後に15mgに減量した患者において、45mg→15mg群では73.3%(33/45例)、30mg→15mg群では78.6%(22/28例)の患者が奏効を維持していた。
・T315I変異の有無別でみると、45mg→15mg群においてT315I変異陽性例、T315I変異以外の変異陽性例、変異陰性例のいずれにおいても、12ヵ月までにBCR-ABL1IS≦1%を達成した患者の割合が高かった(それぞれ60%、56%、46%。30mg→15mg群ではそれぞれ25%、40%、38%)。
・Grade3以上の主な治療下で発現した有害事象(TEAE)は、血小板減少症27%、好中球減少症17%、高血圧8%、貧血7%等であった。
・Grade3以上のTEAEの発現率は、45mg→15mg群68.1%、30mg→15mg群61.7%、15mg群63.8%、TEAEにより投与量を減量した患者の割合はそれぞれ45.7%、35.1%、31.9%であった。
・動脈閉塞イベント(AOE)の発現率は、45mg→15mg群9.6%、30mg→15mg群5.3%、15mg群3.2%であった。
Cortes氏は、「2種類以上のTKIに抵抗性または不耐容のCP-CML患者に対し、奏効に基づきポナチニブの投与量を調整することでリスクとベネフィットを最適化でき、良好な生存に寄与するだろう」とまとめた。
(ケアネット)