2016年のGlobal burden of disease研究によると、片頭痛は世界の一般的な疾患の第6位にランキングされており、重大な社会的および経済的な影響を及ぼす。エジプト・Fayoum UniversityのAhmed Taher Masoud氏らは、片頭痛に対する潜在的な薬理学的アプローチとしてのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体遮断薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌オンライン版2021年5月21日号の報告。
2019年1月までに公表された反復性片頭痛および慢性片頭痛患者に対するerenumab、eptinezumab、fremanezumab、ガルカネズマブを用いたランダム化比較試験(RCT)を各種データベース(SCOPUS、PubMed、Cochrane Central、Embase)より検索した。
主な結果は以下のとおり。
・複合分析では、プラセボと比較し、介入6、8、12週間後に最も強力な効果が認められた薬剤は、それぞれ以下のとおりであった。
●6週間後:fremanezumab 900mg(SMD:-0.55、95%CI:-0.97~-0.12)
●8週間後:erenumab 140mg(SMD:-0.51、95%CI:-0.61~0.41)
●12週間後:erenumab 140mg(SMD:-0.48、95%CI:-0.571~0.39)
・慢性片頭痛では、介入6、8、12週間後に最も有効性が高かった薬剤は、それぞれfremanezumab 900mg、erenumab 140mg、erenumab 70mgであった。
・反復性片頭痛と慢性片頭痛を複合した分析では、介入6週間後に最も効果的な薬剤は、fremanezumabであり、介入8および12週間後に最も効果的な薬剤は、erenumabであることが示唆された。
著者らは「現在のエビデンスによると、反復性片頭痛および慢性片頭痛患者に対する治療において、fremanezumabは介入6週間後の1ヵ月当たりの片頭痛日数減少に対し最も効果的な薬剤であることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)