治療抵抗性片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumab~FOCUS試験

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/01

 

 FOCUS試験では、世界各国の片頭痛患者、とくに治療困難な患者に対する予防薬の有効性や安全性を検討している。米国・Boston PainCareのEgilius L. H. Spierings氏らは、FOCUS試験のサブグループ解析として、既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった反復性および慢性片頭痛成人患者に対する抗CGRPモノクローナル抗体fremanezumabによる治療の有効性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年4月16日号の報告。

 対象は、欧州および北米の104施設で実施されたランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間第IIIb相臨床試験であるFOCUS試験に登録された片頭痛患者838例。対象患者は、fremanezumab四半期ごと投与群、fremanezumab月1回投与群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、12週間の二重盲検治療を実施した。有効性の主要エンドポイントは、12週間の治療における平均月間片頭痛日数のベースラインからの平均変化とし、国ごとに評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・データを提供した14ヵ国のうち、登録患者数が多かったチェコ(188例[22%])、米国(120例[14%])、フィンランド(85例[10%])において、12週間の平均月間片頭痛日数のベースラインからの変化は、プラセボ群と比較し、fremanezumab群で有意な減少が認められた。3ヵ国の対プラセボ最小二乗平均差および95%信頼区間(CI)は以下のとおりであった。
【チェコ】
 ●fremanezumab四半期ごと投与:-1.9(95%CI:-3.25~-0.47)、p=0.009
 ●fremanezumab月1回投与:-3.0(95%CI:-4.39~-1.59)、p<0.001
【米国】
 ●fremanezumab四半期ごと投与:-3.7(95%CI:-5.77~-1.58)、p<0.001
 ●fremanezumab月1回投与:-4.2(95%CI:-6.23~-2.13)、p<0.001
【フィンランド】
 ●fremanezumab四半期ごと投与:-3.0(95%CI:-5.32~-0.63)、p=0.014
 ●fremanezumab月1回投与:-3.9(95%CI:-6.27~-1.44)、p=0.002
・残る9ヵ国の結果も同様であり、対プラセボ最小二乗平均差は、fremanezumab四半期ごと投与で-5.6~-2.4、fremanezumab月1回投与で-5.3~-1.5の範囲であった。
・重篤な有害事象および治療中止につながる有害事象の発生率は低く、国家間や治療群間で同様であった。

 著者らは「fremanezumab月1回および四半期ごとの投与は、2~4つのクラスの片頭痛予防薬を用いた治療に奏効しなかった片頭痛患者において、平均月間片頭痛日数の有意な減少が期待できる治療方法であり、その効果は、国家間での差は認められなかった」としている。

(鷹野 敦夫)