慢性片頭痛および併存するうつ病に対するフレマネズマブの効果

提供元:ケアネット

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公開日:2021/07/14

 

 カルシトニン遺伝子関連ペプチドを標的とした完全ヒトモノクローナル抗体であるフレマネズマブは、成人の片頭痛に対する予防薬として承認されている。慢性片頭痛患者は、うつ病の合併率が高いといわれている。米国・アルバート・アインシュタイン医科大学のRichard B. Lipton氏らは、中等度~重度のうつ病を伴う慢性片頭痛患者に対するフレマネズマブの有効性および安全性を評価した。Headache誌2021年4月号の報告。

 12週間の第III相HALO試験を実施した。慢性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群(675mg/プラセボ/プラセボ)、フレマネズマブ月1回投与群(675mg/225mg/225mg)、プラセボ群にランダムに割り付けた。事後分析では、中等度~重度のうつ病(ベースライン時のPHQ-9合計スコア10以上)を伴う片頭痛患者に対するフレマネズマブ投与による効果を評価した。評価項目は、1ヵ月当たりの中等度~重度の頭痛日数、1ヵ月当たりの片頭痛日数、Patient Global Impression of Change(PGIC)スコア、6-item Headache Impact Test(HIT-6)スコア、抑うつ症状とした。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時に中等度~重度のうつ病を伴う片頭痛患者は、19.5%(1,121例中219例)であった。
・フレマネズマブ投与は、プラセボと比較し、1ヵ月当たりの中等度~重度の頭痛日数の有意な減少との関連が認められた(各々、p<0.001)。
 ●フレマネズマブ四半期ごと投与の最小二乗平均変化:-5.3±0.77
 ●フレマネズマブ月1回投与の最小二乗平均変化:-5.5±0.72
 ●プラセボの最小二乗平均変化:-2.2±0.81
・フレマネズマブ投与は、プラセボと比較し、中等度~重度の頭痛日数が50%以上減少した患者の割合が高かった(各々、p<0.001)。
 ●フレマネズマブ四半期ごと投与:39.7%(78例中31例)
 ●フレマネズマブ月1回投与:40.6%(96例中39例)
 ●プラセボ:13.4%(67例中9例)
・フレマネズマブ投与は、プラセボと比較し、PGICおよびHIT-6スコアの改善が認められた。

 著者らは「フレマネズマブは、慢性片頭痛の予防治療において有効性が示され、併発するうつ病の影響を軽減させることが示唆された」としている。

(鷹野 敦夫)