初の十二指腸癌診療ガイドライン刊行

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/09

 

 十二指腸がんは消化器がんの中で代表的な稀少がんとされ罹患率は低いものの、近年増加傾向がみられており、診断モダリティの進歩により今後さらに発見される機会が増加することが予想される。日本肝胆膵外科学会と日本胃癌学会の協力のもとガイドライン作成委員会が立ち上げられ、「十二指腸癌診療ガイドライン 2021年版」が2021年8月に刊行された。

 これまで本邦では確立された十二指腸がんの診療ガイドラインはなく、エビデンスも不足しているため、日常診療では、各医師の経験に基づいて胃がんや大腸がんに準じた治療が行われてきた。本ガイドラインでは、診断アルゴリズム(無症状/有症状)、治療アルゴリズム(切除可能/切除不能・再発)が示されたほか、「診断・内視鏡治療」「外科治療」「内視鏡・外科治療」「薬物療法」についてそれぞれClinical Questionが設けられ、推奨が示されている。

 掲載されているClinical Questionは以下のとおり。

<診断・内視鏡治療>
CQ1-1 十二指腸癌の疫学について
CQ1-2 十二指腸癌のリスクは何か?
CQ2-1 十二指腸腺腫は治療対象か?
CQ2-2 十二指腸腫瘍における腺腫と癌の鑑別をどのように行うか?
CQ3-1 粘膜内癌と粘膜下層癌の鑑別には何が推奨されるか?
CQ3-2 遠隔転移診断に何が推奨されるか?
CQ4-1 十二指腸腫瘍に対する各種内視鏡治療の適応基準は何か?
CQ4-2 各種内視鏡治療の術者・施設要件は何か?
CQ5 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍に対する内視鏡治療後の偶発症予防は推奨されるか?
CQ6-1 内視鏡治療後に外科的治療を行う推奨基準は何か?
CQ6-2 内視鏡治療後局所再発ならびに異時性多発の早期発見のために、内視鏡によるサーベイランスは推奨されるか?

<外科治療>
CQ1 十二指腸癌に対する外科的治療においてリンパ節郭清は推奨されるか?
CQ2 深達度や占居部位を考慮し、膵頭十二指腸切除術以外の術式を行うことは推奨されるか?
CQ3 十二指腸癌外科切除後の再発診断にはどのようなフォローアップが推奨されるか?

<内視鏡・外科治療>
CQ1 閉塞症状を伴う切除不能十二指腸癌に対する消化管吻合術や内視鏡的ステント挿入は推奨されるか?

<薬物療法>
CQ1 切除可能十二指腸癌を含む小腸癌に周術期補助療法を行うことは推奨されるか?
CQ2 切除不能・再発十二指腸癌を含む小腸癌にMSI検査、HER2検査、RAS遺伝子検査は推奨されるか?
CQ3 切除不能・再発十二指腸癌を含む小腸癌に全身薬物療法は推奨されるか?
CQ4 切除不能・再発十二指腸癌を含む小腸癌に免疫チェックポイント阻害薬は推奨されるか?

十二指腸癌診療ガイドライン 2021年版

編集:十二指腸癌診療ガイドライン作成委員会
定価:3,300円(税込)
発行:金原出版
発行日:2021年8月5日
金原出版サイト

(ケアネット 遊佐 なつみ)