統合失調症症状別の抗精神病薬至適用量~用量反応メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/09

 

 統合失調症の急性期治療において抗精神病薬の最適な投与量を決定することは、臨床的に非常に重要なポイントである。また、急性期治療後には維持期治療へ移行するため、陰性症状に対する抗精神病薬の効果を考慮することも求められる。スイス・ジュネーブ大学のMichel Sabe氏らは、急性期統合失調症に対する抗精神病薬の有効性を評価した固定用量ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューに基づき、陰性症状および陽性症状の用量反応メタ解析を実施した。NPJ Schizophrenia誌2021年9月13日号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・40件のRCTより、1万5,689例が抽出された。
・各薬剤の1日当たりの95%有効量は、以下のとおりであり、多くの薬剤で陰性症状と陽性症状で違いが認められた。
 ●amisulpride(陰性症状:481mg、陽性症状:690.6mg)
 ●アリピプラゾール(陰性症状:11.9mg、陽性症状:11mg)
 ●アセナピン(陰性症状:7.61mg、5.66mg)
 ●ブレクスピプラゾール(陰性症状:2.1mg、陽性症状:4mg)
 ●cariprazine(陰性症状:4mg、陽性症状:6.51mg)
 ●ハロペリドール(陰性症状:6.34mg、陽性症状:7.36mg)
 ●ルラシドン(陰性症状:58.2mg、陽性症状:86.3mg)
 ●オランザピン(陽性症状:15.5mg、陽性症状:9.52mg)
 ●オランザピン長時間作用型注射剤(陰性症状:15.7mg、陽性症状:13.5mg)
 ●パリペリドン(陰性症状:7.2mg、陽性症状:7mg)
 ●パリペリドン長時間作用型注射剤(陰性症状:7.5mg、5.9mg)
 ●クエチアピン即放性製剤(陰性症状:264.2mg、陽性症状:316.5mg)
 ●クエチアピン徐放性製剤(陰性症状:774mg、陽性症状:707.2mg)
 ●リスペリドン(陰性症状:7.5mg、陽性症状:7.7mg)
 ●リスペリドン長時間作用型注射剤(陰性症状:5.13mg、陽性症状:6.7mg)
 ●sertindole(陰性症状:13.5mg、陽性症状:16.3mg)
●ziprasidone(陰性症状:71.6mg、陽性症状:152.6mg)
・用量反応曲線の形状は薬剤により異なっていたが、ほとんどの薬剤は高用量で定常状態に達していた。

 著者らは「ほとんどの薬剤の最大有効量は、各薬剤の承認用量の低~中程度の範囲であることが確認された。最適な用量を把握するためには、さらなるRCTが必要とされる」としている。

(鷹野 敦夫)