カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)またはその受容体に作用する4つのモノクローナル抗体は、慢性片頭痛を予防する新たな生物学的製剤として注目されている。台湾・弘光科技大学のChun-Pai Yang氏らは、慢性片頭痛に対する抗CGRP抗体の有効性および安全性について、従来治療薬との比較を行うため、ネットワークメタ解析を実施した。Neurotherapeutics誌オンライン版2021年9月27日号の報告。
慢性片頭痛患者を対象に抗CGRP抗体とA型ボツリヌス毒素製剤、トピラマート(従来治療薬)との比較を行ったランダム化比較試験(RCT)を検索した。すべてのネットワークメタ解析の手順は、frequentist modelを用いて行った。主要アウトカムは、1ヵ月当たりの片頭痛日数の変化および50%治療反応率とした。安全性は、受容性(脱落率)および有害事象の割合で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・13件のRCTより5,634例がネットワークメタ解析に含まれた。
・eptinezumab 300mg単回投与は、1ヵ月当たりの片頭痛日数の改善効果が最も高かった(平均差:-2.60日、95%CI:-4.43~-0.77[対プラセボ])。
・フレマネズマブ(初回675mg、2回目225mg、3回目225mg)投与は、奏効率が最も高かった(オッズ比:2.96、95%CI:2.20~3.97[対プラセボ])。
・エレヌマブ140mg月1回投与は、急性片頭痛治療薬の減量に最も効果的であった(平均差:-2.50日、95%CI:-3.83~-1.17[対プラセボ])。
・安全性の分析では、ガルカネズマブ240mg月1回投与は、脱落率が最も低かった(オッズ比:0.43、95%CI:0.22~0.84)。
・フレマネズマブ675mg月1回投与(オッズ比:1.44、95%CI:1.10~1.89)、ガルカネズマブ(初回240mg、以降120mg/月)(オッズ比:1.37、95%CI:1.02~1.84)、フレマネズマブ675mg単回投与(オッズ比:1.35、95%CI:1.00~1.83)は、プラセボ/対照群と比較し、有害事象の割合が有意に高かった。
著者らは「4つの抗CGRP抗体は、慢性片頭痛に対する従来の予防薬と比較し、優れた安全性、受容性、有効性プロファイルを有していることが確認された。しかし、いくつかの制限があることを踏まえ、本結果を慎重に検討する必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)