COVID-19パンデミックは、人々の日常生活に支障を来し、メンタルヘルスに悪影響を及ぼすと考えられる。しかし、双極性障害患者の気分症状への影響およびパンデミック前の症状重症度との関連はよくわかっていない。オランダ・ライデン大学のManja Koenders氏らは、双極性障害患者の症状に対するCOVID-19パンデミックの影響について検討を行った。Brain and Behavior誌オンライン版2021年9月23日号の報告。
2020年4月~9月に双極I型障害および双極II型障害と診断された患者を対象に症状やウェルビーイングを評価したBipolar Netherlands Cohort(BINCO)研究を実施した。質問票には、躁症状および抑うつ症状(YMRS、ASRM、QIDS)、心配性(PSWQ)、ストレス(PSS)、孤独、睡眠、COVID-19への恐怖、積極的な対処、物質使用に関する内容を含めた。躁症状、抑うつ症状、ストレスのレベルは、COVID-19パンデミック前に評価し、ロックダウン中の軌跡は混合モデルを用いて推定した。
主な結果は以下のとおり。
・双極性障害患者70例中36例(51%)は、COVID-19評価に1回以上反応が認められた(平均年齢:36.7歳、女性の割合:54%、双極I型障害の割合:31%)。
・第1波の間、(軽)躁症状のベースラインからの有意な増加が観察され(χ2:17.60、p=0.004)、その後減少した。
・COVID-19への恐怖(χ2:18.01、p=0.003)と積極的な対処(χ2:12.44、p=0.03)は、パンデミックの最初で最も高く、その後減少した。
・抑うつ症状やストレスを含む他の尺度は、時間の経過とともに有意な変化は認められなかった。
著者らは「双極性障害患者は、COVID-19パンデミック前から初期段階にかけて躁症状の有意な増加が認められた。これらの症状は、ロックダウンが解除された翌月から、COVID-19への恐怖や積極的な対処とともに減少した」としている。
(鷹野 敦夫)