双極性障害診断の遅延に関連する要因

提供元:ケアネット

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公開日:2021/11/30

 

 双極性障害の診断は、遅延することが少なくない。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のKamyar Keramatian氏らは、双極性障害の診断遅延に関連する臨床的および人口統計学的要因を調査した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2021年10月1日号の報告。

 診断遅延は、初回気分エピソード(うつ状態、躁状態、軽躁状態)時の年齢と双極性障害と診断された年齢との差として定義した。データは、カナダの多施設自然主義的研究より抽出した。双極I型障害192例、双極II型障害127例を対象にHOPE-BD(Health Outcomes and Patient Evaluations in Bipolar Disorder)研究を実施した。これまで双極性障害の診断遅延と関連していると考えられていた社会人口統計学的特徴および臨床的特徴を分析に含めた。

 主な結果は以下のとおり。

・診断遅延の中央値は、双極I型障害で5.0年、双極II型障害で11.0年であった。
・診断遅延の長さと関連していた因子は、早期発症、自殺企図歴、不安症の合併などの臨床的要因であった。一方、診断遅延の短さと関連していた因子は、精神症状の存在や精神科入院歴であった。
・分位点回帰分析では、双極I型障害および双極II型障害の診断遅延の増加を予測する因子は、専門家相談時の年齢の高さと発症年齢の低さであった。
・初回エピソードでのうつ状態は、双極II型障害ではなく双極I型障害の診断遅延の予測因子であった。

 著者らは「本調査により、双極性障害の診断遅延の現状および遅延に影響を及ぼす因子が特定された。双極性障害の早期診断と介入戦略実施の必要性があらためて浮き彫りとなった」としている。

(鷹野 敦夫)