新型コロナウイルスへの感染、発症、死亡に関して、感染対策はどの程度有効だったのだろうか。オーストラリア・Monash UniversityのStella Talic氏らの系統的レビューとメタ解析から、手洗い、マスク着用、対人距離保持などがCOVID-19発症率の減少と関連することが示唆された。BMJ誌2021年11月17日号に掲載。
マスク着用効果を35報の論文からメタ解析
本研究では、Medline、Embase、CINAHL、Biosis、Joanna Briggs、Global Health、World Health Organization COVID-19データベース(プレプリント)において、COVID-19発症率、SARS-CoV-2感染率、COVID-19死亡率の減少における感染対策の有効性を評価した観察研究と介入研究の論文を検索した。主要評価項目はCOVID-19発症率、副次評価項目はSARS-CoV-2感染率とCOVID-19死亡率などであった。マスク着用、手洗い、対人距離保持がCOVID-19発症率に及ぼす影響をDerSimonian Lairdのランダム効果メタ解析で評価した。
マスク着用などの効果をメタ解析した主な結果は以下のとおり。
・選択基準を満たした論文72報中35報が個別の感染対策を評価し、37報が複数の感染対策を「介入パッケージ」として評価していた。
・35報中8報をメタ解析した結果、手洗い(相対リスク:0.47、95%信頼区間:0.19〜1.12、I
2=12%)、マスク着用(0.47、0.29〜0.75、I
2=84%)、対人距離保持(0.75、0.59〜0.95、I
2=87%)がCOVID-19発症率の減少と関連していた。
・検疫・隔離、ロックダウン、国境・学校・職場の封鎖による有効性は、研究の不均一性からメタ解析は不可能だった。
(ケアネット 金沢 浩子)