依然、世界で拡大傾向が続く新型コロナウイルスのオミクロン株を巡り、コロナワクチンを手掛けるファイザー社とモデルナ社が、相次いでオミクロン株に特化した新たなワクチンの臨床試験の開始を発表した。
米国・ファイザー社が発表した1月25日付のプレスリリースによると、臨床試験は、18~55歳の最大1,420例を3つのコホートに分けて実施。コホート1(n=615)は、90~180日前に、既存のファイザー製ワクチンを2回接種した被験者。コホート2(n=600)は、90~180日前に、既存ワクチンを3回接種した被験者。これらのグループに対し、既存ワクチンまたはオミクロン株に特化した新規ワクチンを1回投与する。ワクチン未接種の被験者で構成するコホート3(n=205)は、新規ワクチンを3回投与。それぞれのコホートについて、新規ワクチンの安全性、忍容性、免疫原性の評価を行う。
一方、米国・モデルナ社も1月26日付のプレスリリースで、同社のオミクロン株に特化した追加接種ワクチン候補(mRNA-1273.529)の第II相試験の最初の被験者に接種を行ったことを発表した。
臨床試験では、18歳以上の成人において、既存のモデルナ製ワクチンを2回接種し、2回目の投与から6ヵ月以上前の被験者(コホート1)と、同ワクチンを2回接種と50μgの追加接種を受け、追加接種から3ヵ月以上前の被験者(コホート2)に対し、オミクロン株に特化したワクチンを1回追加投与し、免疫原性、安全性、及び接種後反応を評価する。同社は、本試験の各グループに約300例の登録を見込んでおり、米国内の最大24施設で実施する方針。
併せて同社は、既存ワクチンにおける追加接種6ヵ月後のオミクロン株に対する中和抗体価データをNEJM誌に公表したことも発表1)。それによると、追加接種後29日目のピーク時の中和抗体価から6.3倍低下しているものの、すべての被験者で検出可能だった。しかしながら、同じ期間で2.3倍低下した従来株のウイルス(D614G)に対する中和抗体価の低下よりも、オミクロン株では急速だったという。
(ケアネット 古賀 公子)