アルツハイマー病治療薬aducanumabのFDA承認に対する世論調査

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/10

 

 FDAによるアルツハイマー病治療薬aducanumabの承認については、専門家の間でさまざまな意見が出されているが、このことに関する世論については、ほとんど知られていない。米国・ジョンズホプキンス大学School of Public HealthのMichael J. DiStefano氏らは、米国成人を対象に、aducanumabのFDA承認に対する世論調査を実施した。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2022年2月7日号の報告。

 対象は、35歳以上の米国成人。aducanumabの承認に関する意見、FDAに対する批判因子の特定、政策対応に関する意見(メディケアおよびメディケイドサービスセンターによる全国的な補償範囲決定に関連する対応など)を調査した。調査には、全国世論調査センターAmeriSpeakパネルから得られた確率ベースのサンプルを用いて、オンライン(英語およびスペイン語)で調査した。パネルおよび調査デザインの選択確率は、人口統計による人口分布と期待反応率の違いにより算出した。選択確率と無回答を調整するため、survey weightを用いて分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査完了者は、1,025人であった。
・回答者の約4分の3は、当初aducanumabについてあまりよくわかっていなかったが、薬剤の潜在的な臨床効果および経済的影響に関する情報を提供したところ、薬剤承認に対する支持率は低かった。
・回答者の63%は、ベネフィットを受ける可能性の最も高い患者に対するaducanumabへのアクセス制限を支持すると回答した。
・aducanumabのさらなる研究を行うために、軽度アルツハイマー病患者の家族を臨床試験の待機リストに登録する(71%)、ランダム化プラセボ対照試験に登録する(60%)との意見が認められた。
・回答者の81%は、試験が失敗した場合、aducanumabの承認を取り消すことに同意した。
・aducanumabのためにメディケアプログラムのパートB(補足的医療保険)で1~5ドル(中央値)の支払いを許容していた。

 著者らは「aducanumabの承認に対する政策への世論が明らかとなった。政策を策定する際には、情報に通じた一般市民の意見を考慮する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)