初回エピソード統合失調症患者に対する抗精神病薬の早期減量が、治療中止や精神科入院リスクに及ぼす影響について、韓国・蔚山大学校のSung Woo Joo氏らが調査を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2022年3月1日号の報告。
対象は、韓国・Health Insurance Review Agencyデータベースを用いて抽出された初回エピソード統合失調症患者1万6,153例。診断後6ヵ月時点での減量幅により3群に分類した(非減量群、50%以下減量群、50%超減量群)。非減量群を参照群とし、診断6ヵ月後より1年間のフォローアップ期間中における抗精神病薬の減量に関連する治療中止および精神科入院リスクを評価するため、最初の3ヵ月間の1日平均オランザピン換算量(10mg未満、10~20mg、20mg超)で層別化されたCox比例ハザードモデルを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・50%超減量群では、すべてのサブグループにおいて治療中止リスクが高かった。
●平均オランザピン換算量10mg未満/日(ハザード比[HR]:1.44、95%信頼区間[CI]:1.24~1.67、p<0.01)
●平均オランザピン換算量10~20mg/日(HR:1.60、95%CI:1.37~1.86、p<0.01)
●平均オランザピン換算量20mg超/日(HR:1.62、95%CI:1.37~1.91、p<0.01)
・平均オランザピン換算量10mg未満/日のサブグループでは、抗精神病薬50%以下の減量と治療中止リスクの増加との関連が認められた(HR:1.20、95%CI:1.09~1.31、p<0.01)。
・50%超減量群では、平均オランザピン換算量10mg未満/日のサブグループでのみ、入院リスクの増加との関連が認められた(HR:1.48、95%CI:1.21~1.80、p<0.01)。
著者らは「本結果より、精神科入院リスクを抑制するためには、一定量の抗精神病薬治療が必要であり、抗精神病薬の大幅な減量は、治療中止リスクを上昇させる可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)