長寿国である日本。その要因として日本人の食生活が影響しているといわれている。しかし、日本食の健康に対するベネフィットは、十分に解明されていない。2007年、宮城県大崎市の日本人住民を対象とした大崎コホート研究において、日本食パターンと心血管疾患による死亡率との関連が世界で初めて発表された。以来、本報告の著者らは、日本食パターンと健康への影響に関するエビデンスを蓄積するため、日本食インデックス(JDI)を開発し、日本食の健康への影響について検討を行ってきた。東北大学の松山 紗奈江氏らは、これまでの6報の論文をレビューし、日本食の健康への影響および将来の研究への影響について議論を深めるため本報告を行った。その結果、日本食パターンを高率で実践している人では、死亡率だけでなく、機能障害や認知症リスクの減少も認められることが確認された。Nutrients誌2022年5月12日号の報告。
JDIスコア(四分位:Q1[最低]~Q4[最高])と各アウトカムとの関連を報告した。各アウトカムに対し、Q1と比較した多変量ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
【すべての原因による死亡率】
・Q2:0.92(95%CI:0.85~1.00)
・Q3:0.91(同:0.83~0.99)
・Q4:0.91(同:0.83~0.99)
【機能障害】
・Q2:0.94(同:0.81~1.09)
・Q3:0.90(同:0.77~1.05)
・Q4:0.79(同:0.68~0.92)
【認知症】
・Q2:0.88(同:0.74~1.05)
・Q3:0.87(同:0.73~1.04)
・Q4:0.79(同:0.66~0.95)
(鷹野 敦夫)