伝染性軟属腫(MC)の治療として、新規塗布薬の一酸化窒素(NO)放出薬である10.3%berdazimerゲル剤が、良好な有効性と安全性を示し有害事象の発現頻度は低率だったことを、米国・Texas Dermatology and Laser SpecialistsのJohn C. Browning氏らが第III相無作為化試験の結果、報告した。MCは伝染性軟属腫ウイルス(molluscipoxvirus)によって引き起こされる、日常診療でよくみかける持続性で伝染性の高い皮膚感染症で、自然治癒することが多いとされる一方、数ヵ月から数年続く可能性も否定できない。米国では年間約600万人が症状に悩まされ、1~14歳の子供の発生が最も多いと報告されているが、米国FDA承認薬はいまのところないという。わが国でも同様に子供に多く、治療方針は自然治癒を待つものから冷凍凝固療法など外科的処置まで柔軟に選択されている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年7月13日号掲載の報告。
研究グループは、MC治療としての10.3%berdazimerゲル剤の有効性と安全性を評価する第III相多施設共同溶剤対照二重盲検無作為化試験「B-SIMPLE4試験」を、2020年9月1日~2021年7月21日に米国内55クリニック(大半が皮膚科と小児科)で行った。適格被験者は、月齢6ヵ月以上で、3~70個の病変を有するMC患者。性感染によるMCやMCが眼周囲のみに認められる患者は除外した。
患者は、10.3%berdazimerゲル剤または溶剤の塗布治療を受ける群に無作為に割り付けられ、すべての病変表面薄層に1日1回、12週間塗布を受けた。
主要有効性エンドポイントは、12週時点の全MC病変の完全消失であった。安全性と忍容性の評価には、有害事象の頻度と重症度、および局所皮膚反応と瘢痕の評価が含まれた。データ解析は2021年8月31日~9月14日に行われた。
主な結果は以下のとおり。
・被験者は計891例で、berdazimer群に444例(平均年齢6.6歳[範囲:0.9~47.5]、男性228例[51.4%]、白人種387例[87.2%])、溶剤群に447例(平均年齢6.5歳[範囲:1.3~49.0]、女性234例[52.3%]、白人種382例[85.5%])が無作為に割り付けられた。
・12週時に、intention-to-treat(ITT)集団において病変カウントを行ったのは、berdazimer群88.5%(393例)、溶剤群88.8%(397例)であった。
・12週時にMCの完全消失が認められたのは、berdazimer群は32.4%(144例)、溶剤群19.7%(88例)であった(絶対群間差:12.7%、オッズ比[OR]:2.0、95%信頼区間[CI]:1.5~2.8、p<0.001)。
・12週時点で、MC消失により治療を中断していた被験者割合は、berdazimer群14.4%(64例)、溶剤群8.9%(40例)であった。
・有害事象の発現頻度は低率であった。最も頻度の高い有害事象は、塗布部の痛みと紅斑であったが、大半が軽症であった。
・治療中断につながった有害事象の発現頻度は、berdazimer群4.1%(18例)、溶剤群0.7%(3例)であった。
・最も多かった局所皮膚反応は、軽症~中等症の紅斑であった。
(ケアネット)