子供に多いことで知られるウイルス性皮膚感染症、いわゆるミズイボへの新規外用剤VP-102の、第III相臨床試験の結果が報告された。VP-102は、1回使い切りタイプの独自の薬剤送達デバイスで、カンタリジン0.7%(w/v)を含有する局所フィルム形成溶液を病変部に塗布するというもの。病変塗布部が区別しやすいよう外科用染料ゲンチアナバイオレットが使われ、また苦味を加味して潜在的な経口摂取の防止が図られているという。今回、カリフォルニア大学サンディエゴ校のLawrence F. Eichenfield氏らが、2歳以上の伝染性軟属腫(MC)患者への有効性と安全性を検討した2件の第III相臨床試験の結果を報告した。いずれの試験でもVP-102はビヒクル(プラセボ)と比較して、試験終了時のMCの完全消失率が有意に優れており、有害事象は概して軽度~中等度で塗布部に限定されたものであることが明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「VP-102は、米国食品医薬品局(FDA)による承認治療薬がない一般的な皮膚症状であるMCについて、潜在的に有効で安全な治療薬であることが示された」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年9月23日号掲載の報告。
2件の第III相臨床試験は、同一試験デザインの無作為化二重盲検ビヒクル対照にて、米国の31医療施設で行われた(Cantharidin Application in Molluscum Patients[CAMP-1とCAMP-2])。
2歳以上のMC患者計528例が参加。CAMP-1は2018年3月21日~11月26日に、CAMP-2は2018年2月14日~9月26日に実施された。
被験者は無作為に3対2の割合で、VP-102を局所塗布する群(VP-102治療群)またはビヒクルを局所塗布する群(ビヒクル群)に割り付けられた。病変の完全消失または最大4回塗布まで、21日ごとの受診時にすべての治療病変に塗布が行われた。
主要有効性アウトカムは、すべてのMC病変が完全消失したVP-102治療群の患者割合で、84日の時点での最終受診時にビヒクル群と比較評価した。有効性はintent-to-treat集団にて解析した。
副次有効性アウトカムは、21日、42日、63日の各時点でのMC完全消失率などであった。安全性アウトカムは、予測された局所の皮膚反応を含めた有害事象の評価が含まれた。
主な結果は以下のとおり。
・528例の登録患者のうち、527例が治療を受けた(CAMP-1:265例、CAMP-2:262例)。267/527例(50.7%)が男児で、VP-102治療群の平均年齢(SD)はCAMP-1が7.5(5.3)歳、CAMP-2が7.4(8.0)歳、ビヒクル群はそれぞれ6.3(4.7)歳、7.3(6.7)歳であった。
・VP-102治療群は、ビヒクル群に対して、最終受診時のMC病変完全消失達成患者の割合でみた有効性が優れていることが示された(CAMP-1[VP-102群46.3% vs.ビヒクル群17.9%、p<0.001]、CAMP-2[54.0% vs.13.4%、p<0.001])。
・有害事象は、VP-102群では99%(CAMP-1)および95%(CAMP-2)、ビヒクル群は73%(CAMP-1)および66%(CAMP-2)で観察された。
・最も頻度の高い有害事象は、塗布部の小胞、疼痛、かゆみ、紅斑、痂皮であり、ほとんどの有害事象の重症度は軽度~中等度であった。
(ケアネット)