米国食品医薬品局(FDA)は8月31日付のプレスリリースで、モデルナとファイザーの新型コロナワクチンの緊急使用許可(EUA)を改訂し、野生株とオミクロン株BA.4/BA.5に対応した2価ワクチンで、既存の1価ワクチンの初回シリーズまたは追加接種から少なくとも2ヵ月後に、追加接種としての使用を承認したことを発表した。このたび緊急使用許可された2価ワクチンは「アップデートブースター(updated boosters)」とも呼ばれる。モデルナの2価ワクチンは18歳以上への単回追加接種、ファイザーの2価ワクチンは12歳以上への単回追加接種が承認されている。また、今回の承認に伴い、既存の1価ワクチンは、12歳以上への追加接種として使用できなくなる。
今回のFDAによる承認は、現在流通している1価ワクチンの安全性および有効性のデータ、オミクロン株BA.1に対応した2価ワクチンの臨床試験から得られた安全性および免疫原性データ、BA.4/BA.5に対応した2価ワクチンの非臨床データに基づいているという。BA.4/BA.5対応2価ワクチンは、既存の1価ワクチンおよびBA.1対応2価ワクチンと同じ製造プロセスのため、安全性のデータは相関するとしている。
モデルナのBA.1対応2価ワクチン追加接種における有効性の評価では、同社の1価ワクチン初回シリーズと追加接種1回を受けた18歳以上の約600例を対象とし、1価ワクチンもしくはBA.1対応2価ワクチンを2回目の追加接種として、1回目の追加接種から少なくとも3ヵ月後に投与した。2回目追加接種後28日時点で、2価ワクチンを接種した被験者では、BA.1に対する免疫反応が、1価ワクチン接種者よりも良好だったとしている。
モデルナのBA.1対応2価ワクチン追加接種における安全性の評価では、同社の1価ワクチン初回シリーズと追加接種1回を受けた18歳以上の約800例を対象とし、1価ワクチンもしくはBA.1対応2価ワクチンを2回目の追加接種として、1回目の追加接種から少なくとも3ヵ月後に投与した。2価ワクチンを接種した被験者において、最も多く報告された副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、関節痛、悪寒、注射した腕のリンパ節腫脹、悪心/嘔吐、発熱などがあった。
ファイザーのBA.1対応2価ワクチン追加接種における有効性と安全性の評価では、同社の1価ワクチン初回シリーズと追加接種1回を受けた55歳以上の約600例を対象とし、1価ワクチンもしくはBA.1対応2価ワクチンを2回目の追加接種として、1回目の追加接種から4.7~13.1ヵ月後に投与した。2回目追加接種後1ヵ月時点で、2価ワクチンを接種した被験者では、BA.1に対する免疫反応が、1価ワクチン接種者よりも良好だったとしている。また、2価ワクチンを接種した被験者において、最も多く報告された副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫脹、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛、発熱などがあった。
今回の2価ワクチン承認に伴い、モデルナおよびファイザーの既存の1価ワクチンは、モデルナの場合は18歳以上、ファイザーの場合は12歳以上に対する追加接種としての使用ができなくなる。既存の1価ワクチンは、引き続き、生後6ヵ月以上に対する初回シリーズの接種に使用することが許可されている。また、ファイザーの1価ワクチンは、5~11歳に対して、初回シリーズ接種の少なくとも5ヵ月後に追加接種として使用することができるとしている。
(ケアネット 古賀 公子)