睡眠状態と片頭痛は密接に関連しているといわれている。しかし、睡眠の質と片頭痛発症リスクとの関連をシステマティックに評価した研究はほとんどなく、性差や年齢差についてもよくわかっていない。中国・北京中医薬大学のShaojie Duan氏らは、睡眠の質と片頭痛発症リスクとの関連およびその性差や年齢差について調査を行った。また、睡眠の質と片頭痛患者の苦痛、重症度、身体障害、頭痛への影響、QOL、不安、抑うつ症状との関連も併せて調査した。その結果、睡眠の質の低下は、片頭痛発症リスクや片頭痛関連の苦痛と有意かつ独立して関連していることが明らかとなった。著者らは、睡眠の質の評価をより充実させることで、片頭痛患者の早期予防や治療に役立つであろうとまとめている。Frontiers in Neurology誌2022年8月26日号の報告。
対象は、片頭痛患者134例および年齢・性別がマッチした健康対照者70例。睡眠の質の評価には、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いた。睡眠の質と片頭痛発症リスク、頭痛関連の苦痛との関連を評価するため、ロジスティック回帰分析および線形回帰分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・片頭痛患者における睡眠の質の低下は、健康対照者と比較し有意に多くみられた(p<0.001)。
・さまざまな交絡因子で調整した後でも、睡眠の質が低下している場合の片頭痛リスクは、睡眠の質が良好な場合の3.981倍であった。
・サブグループ解析では、睡眠の質と片頭痛リスクの間に対し相加的に有意な影響を及ぼす因子として、性別、年齢、教育レベルが特定された(p for interaction<0.05)。また、女性、35歳以上の集団、教育レベルが低い場合において、より強い相関が認められた。
・多変量線形回帰分析では、睡眠の質の低下が、片頭痛患者の苦痛、重症度、頭痛への影響、QOL、不安、抑うつ症状に有意かつ独立して関連していることが示唆された(p for trend<0.05)。
(鷹野 敦夫)