HER2陽性の進行性胃がん/食道胃接合部がんを対象としたトラスツズマブ後の2次治療としてのトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の長期フォローアップに基づく有用性が、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのGeoffrey Ku氏から欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2022)で発表された。
これは、ESMO2021ですでに発表のあった単群第II相試験であるDESTINY-Gastric02試験のアップデート解析の結果である。
・対象:1次治療としてトラスツズマブベースレジメンの治療を受けた切除不能または転移を有する胃がん/食道胃接合部がん
・試験群:T-DXd 6.4mg/kgを3週ごと
・評価項目:
[主要評価項目]独立評価委員会評価による奏効率(ORR)
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、奏効期間(DoR)、安全性、患者報告アウトカム
主な結果は以下のとおり。
・前回の報告は2021年4月のデータカットオフ時のもので、追跡期間中央値は5.9ヵ月であったが、今回のデータは2021年11月データカットオフで、追跡期間中央値は10.2ヵ月であった。
・登録症例は欧米からのみの79例である。
・ORRについては、前回は3.8%のCRを含む38.0%であったが、今回の解析では5.1%のCRを含む41.8%であった。また、DoR中央値は変わらず8.1ヵ月であった。
・PFS中央値は5.6ヵ月で、OS中央値は12.1ヵ月であった。
・安全性プロファイルは既知のものと同様であった。何らかの有害事象(AE)は94.9%の症例に発現し、その主なものは、嘔気、嘔吐、倦怠感であった。Grade3以上の薬剤関連有害事象(TRAE)は30.4%だった。
・投薬中止に至ったTRAEの発現は12.7%、減量に至ったTRAEは17.7%の症例で報告された。
・薬剤関連間質性肺疾患と診断されたのは10.1%で、うち2.5%(2例)はGrade5だった。
・患者報告アウトカムは、ベースラインから7サイクル目まで、健康関連QoLの悪化は認められなかった。
(ケアネット)