12歳以上における、ファイザー社およびモデルナ社の2価ワクチンによるブースター接種後の安全性データを、米国疾病予防管理センター(CDC)のAnne M. Hause氏らがMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)11月4日号に報告した。
米国食品医薬品局(FDA)は2022年8月31日に、12歳以上へのBNT162b2(ファイザー)および18歳以上へのmRNA-1273(モデルナ)COVID-19ワクチンの2価製剤を承認。これらのワクチンにはSARS-CoV-2のオリジナル株およびBA.4/BA.5のスパイクタンパク質をコード化したmRNAが含まれる。10月23日までの間に、約2,260万回の2価ブースターワクチンが投与されている。今回、同期間中の2価ワクチン接種者における、v-safe(スマートフォンを用いたアクティブサーベイランスシステム。接種後1週間の局所および全身反応と健康への影響が報告される)およびVAERS(CDCとFDAが管理する、ワクチン接種後の有害事象をモニタリングするパッシブサーベイランスシステム)に報告された事象および健康影響評価のレビューが行われた。
v-safeにおける主な結果は以下のとおり。
・期間中に計21万1,959人の12歳以上のv-safe登録者が、年齢に応じた2価ワクチン投与を受けた。
・12~17歳が1,464人(0.7%)、18~49歳が6万8,592人(32.4%)、50~64歳が5万9,209人(27.9%)、65歳以上が8万2,694人(39.0%)だった。
・4回目接種者(9万6,241人;45.4%)または5回目接種者(10万6,423人;50.2%)が多くを占めた。
・12万2,953人(58.0%)がファイザー社、8万9,065人(42.0%)がモデルナ社の2価ワクチン投与を受けていた。
・登録者の1/3以上(8万4,450人;39.8%)が、少なくとも1つの他のワクチンの同時接種を受けたと報告した。8万3,005人(98.3%)がインフルエンザワクチンを接種していた。
・投与後1週間での局所反応の報告頻度は、全体で60.8%、12~17歳で68.7%、18~49歳で72.9%、50~64歳で62.0%、65歳以上で49.7%だった。
・投与後1週間での全身反応の報告頻度は、全体で54.8%、12~17歳で59.8%、18~49歳で67.9%、50~64歳で55.2%、65歳以上で43.5%だった。
・多く報告された副反応は、注射部位の痛み(45.0~70.5%)、倦怠感(30.0~53.1%)、頭痛(19.7~42.8%)、筋肉痛(20.3~41.3%)、発熱(10.2~26.3%)だった。
VAERSにおける主な結果は以下のとおり。
・期間中に2価ワクチン投与を受けた12歳以上から、5,542件(ファイザー社:2,928件、モデルナ社:2,615件)の有害事象に関する報告を受けた。
・報告者の年齢中央値は60(12~101)歳で、64.2%が女性。939件(16.9%)の報告で、少なくとも1つの他のワクチンが同時接種されており、うち最も多かったのはインフルエンザワクチンだった(90.7%)。
・ワクチン接種の過誤に関連する事象(製品の誤投与や用量間違いなど)が1,913件(34.5%)報告され、うち225件(11.8%)で健康上の有害事象が発生していた。
・全体の95.5%(ファイザー社:2,762件[94.3%]、モデルナ社:2,530件[96.8%])が非重篤に分類された。※VAERSレポートでは、入院、入院期間の延長、致命的な疾患、後遺症、先天性異常、または死亡のいずれかが報告された場合、重篤と分類。
・重篤と分類された報告は251件(4.5%)。ファイザー社:166件(5.7%)、モデルナ社:85件(3.3%)だった。うち5件は心筋炎、4件は心膜炎、20件はCOVID-19で、心筋炎を報告した人の年齢は12~78歳、心膜炎は46~78歳だった。
・死亡は36件報告され、年齢中央値は71(46~98)歳。本レポート作成時点で十分な情報が得られたのは4件で、死因には心停止、認知症、転移前立腺がん、および心筋梗塞が含まれていた。CDCでは引き続き残りの死亡者の医療情報を収集している。
著者らは、本結果がBA.1対応の2価ブースターワクチンの承認前臨床試験の安全性データおよび1価ブースター投与後に報告された安全性データとおおむね一致しており、COVID-19による健康への影響より頻度は低く、深刻度も低いとしている。
(ケアネット 遊佐 なつみ)