術前化療で完全奏効のTN or HER2+乳がん、手術省略できるか/Lancet Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/06

 

 トリプルネガティブ(TN)およびHER2陽性乳がん患者において、術前化学療法により病理学的完全奏効を達成した場合は予後良好とされ、経皮的画像ガイド下吸引補助式乳房組織生検(VACB)により正確に判断することが可能である。今回、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHenry M. Kuerer氏らは、術前化学療法を受けたTNまたはHER2陽性の早期乳がん患者において、画像ガイド下VACBにより病理学的完全奏効と判定された場合に、手術を省略し放射線治療のみにできるかどうか検討した。The Lancet Oncology誌2022年12月号に掲載。

 本試験は米国の7施設による多施設共同単群第II相試験で、対象はcT1-2N0-1M0のTNまたはHER2陽性乳がんの妊娠していない40歳以上の女性で、標準的な術前化学療法後、残存病変が画像上2cm未満の患者とした。画像ガイド下VACBで浸潤性・潜在性がんが確認されなかった場合、手術を省略し、標準的な全乳房放射線治療を行った。主要評価項目は、生検による同側乳がん再発率、安全性はVACBを受けた全患者を対象に評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・2017年3月6日~2021年11月9日に50例が登録され、年齢中央値は62歳(四分位範囲:55~77)、TN乳がん21例(42%)、HER2陽性乳がん29例(58%)であった。
・VACBにより31例(62%、95%信頼区間:47.2~75.4)に病理学的完全奏効を確認した。
・これらの31例について、観察期間中央値26.4ヵ月(四分位範囲:15.2~39.6)時点で、同側乳がん再発は認められなかった。
・生検関連の重篤な有害事象や治療関連死亡は発生しなかった。

 この第II相試験の結果から、著者らは、術前化学療法後に画像ガイド下VACBで病理学的完全奏効が判定された患者には手術省略が可能と考察している。

(ケアネット 金沢 浩子)