高齢者の認知症予防には、余暇の活動が重要であるといわれている。しかし、認知症リスクと楽器の演奏との関連は、あまりわかっていない。国立循環器病研究センターのAhmed Arafa氏らは、高齢者における楽器の演奏と認知症リスクとの関連を調査するため、プロスペクティブコホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、楽器の演奏と高齢者の認知症リスク低下との関連が確認された。著者らは、高齢者の余暇の活動に、楽器の演奏を推奨することは意義があると報告している。BMC Neurology誌2022年10月27日号の報告。
楽器を演奏する高齢者におけるプールされた認知症リスクのハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出するため、ランダム効果モデルを用いた。研究全体の不均一性の評価にはI2、出版バイアスの評価にはfunnel plotの非対称性検定、バイアスリスクの評価には修正済みニューカッスル・オタワスケールを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・3件のプロスペクティブコホート研究(米国:2件、日本:1件)が適格基準を満たした。
・メタ解析では、楽器の演奏は、高齢者の認知症リスクの低下と有意に関連していることが示唆された(HR:0.64、95%CI:0.41~0.98)。
・研究全体で、有意な異質性(I2=23.3%、p=0.27)または出版バイアス(z=-1.3、p=0.18)は確認されなかった。
(鷹野 敦夫)