統合失調症患者に睡眠障害がみられることは少なくない。このような場合、非侵襲的介入である音楽療法が有益である可能性がある。台湾・輔英科技大学のMei-Jou Lu氏らは、統合失調症患者の睡眠障害に対する音楽療法の有効性を調査した。その結果、統合失調症患者の睡眠障害に対する音楽療法のメリットが実証された。Archives of Psychiatric Nursing誌2022年10月号の報告。
慢性期病棟で睡眠障害を伴う統合失調症患者を対象に、プロスペクティブ研究を実施した。対象者は、標準療法のみを行う対照群と、標準療法に加えて4週間の就寝前音楽療法を行う介入群に割り付けられた。睡眠障害の重症度を測定するため、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を用いた。両群間のベースライン時と4週間後のPSQIスコアの変化を分析するため、一般化推定方程式を用いた。介入群における治療効果の予測因子の特定も試みた。
主な結果は以下のとおり。
・対象は、介入群35例、対照群31例の計66例。
・人口統計学的変数で調整した後、介入群のPSQIスコアの変化は対照群と比較し、有意に大きく(群×時間の推定値:-7.05、p<0.001)、音楽療法の有効性が示唆された。
・無宗教の患者や慢性疾患を有する患者では、より優れた有効性が予測された。
・高齢患者では、音楽療法の有効性が乏しい可能性が示唆された。
・統合失調症患者に対する音楽療法の有効性が示唆される一方で、医療従事者は実臨床において統合失調症患者の重症度の変化を考慮する必要がある。
(鷹野 敦夫)