CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-転移乳がん、パルボシクリブ継続投与は有効か(PACE)/SABCS2022

提供元:ケアネット

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公開日:2022/12/28

 

 CDK4/6阻害薬+内分泌療法(ET)による治療で増悪した、ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)転移乳がん(MBC)患者において、CDK4/6阻害薬を継続投与すべきかは明らかでない。増悪後、フルベストラントへの変更を伴うパルボシクリブの継続が、フルベストラント単独への変更よりも転帰を改善するかどうかを前向きに評価し、パルボシクリブ・フルベストラント・アベルマブの3剤投与の活性を探る第II相PACE試験の結果を、米国・ダナ・ファーバーがん研究所のErica L. Mayer氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2022)で発表した。

・対象:CDK4/6阻害薬+ETで増悪したHR+/HER2-MBC患者(MBCに対するETが≦2ライン/化学療法が0~1ライン、フルベストラント治療歴なし)
・試験群
フルベストラント+パルボシクリブ群(F+P群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg 111例
フルベストラント+パルボシクリブ+アベルマブ群(F+P+A群):フルベストラント 500mg+パルボシクリブ 125mg+アベルマブ 10mg/kg 54例
・対照群(F群):フルベストラント 500mg 55例
・評価項目:
[主要評価項目]F+P群とF群のRECIST評価による無増悪生存期間(PFS)の比較
[副次評価項目]F+P+A群とF群のPFSの比較、奏効に関するエンドポイント、安全性、ESR1/PIK3CA/Rbなどのあらかじめ定義された分子的サブグループにおける転帰
※ctDNA解析のための血液は、ベースライン時、腫瘍評価時(8週ごと)、進行時に採取された。

 主な結果は以下のとおり。

・2017年9月~2022年2月に米国の13施設から220例が組み入れられ、F群:F+P群:F+P+A群に1:2:1の割合で無作為に割り付けられた。2022年7月のデータロック時点での追跡期間中央値は23.6ヵ月。
・ベースライン特性は3群でバランスがとれており、全体の年齢中央値は57(25~83)歳、閉経後が81%、de novo症例が40%、内臓転移例が60%だった。前治療で使用されたCDK4/6阻害薬はパルボシクリブが91%を占め、前治療(CDK4/6+ET)からの期間は>12ヵ月が76%だった。16%がMBCに対する化学療法歴を有していた。
・PFS中央値は、F群4.8ヵ月に対しF+P群4.6ヵ月(ハザード比[HR]:1.11、90%信頼区間[CI]:0.74~1.66、p=0.62)で改善はみられなかった。
・F群と比較したF+P+A群のPFS中央値は、8.1ヵ月でHR:0.75、90%CI:0.47~1.20、p=0.23だった。
・PFSのサブグループ解析の結果、最初のCDK4/6阻害薬による治療から本試験の治療までの間に化学療法などの他治療を受けていた患者および内分泌療法抵抗性の患者でパルボシクリブ継続のベネフィットがある傾向がみられた。
・ベースライン時の分子的サブグループ別にPFSをみると、ESR1およびPIK3CA変異を有する患者でパルボシクリブ継続のベネフィットがある傾向がみられた。
・奏効率(ORR)はF群10.8% vs.F+P群13.7% vs.F+P+A群17.9%、臨床的ベネフィット率(CBR)は29.1% vs.32.4% vs.35.2%だった。
・Grade3以上の有害事象について、F+P群でみられたのは好中球減少症(32.7%)、貧血(4.5%)、疲労(1.8%)など。F+P+A群でみられたのは好中球減少症(49.1%)、疲労(5.7%)などだった。
・免疫関連有害事象の発生率は低く、予期せぬ有害事象は報告されていない。

 ctDNAおよび血中循環腫瘍細胞(CTC)の連続サンプルの評価が継続中で、変異や耐性と治療効果の関連、および免疫療法に感受性のあるマーカーが探索される予定となっている。

(ケアネット 遊佐 なつみ)