免疫便潜血検査(FIT)は、大腸がん(CRC)のスクリーニングに広く用いられているが、CRC以外の疾患の場合でもFIT陽性になることがある。韓国・ソウル大学のYu Kyung Jun氏らは、FIT陽性結果と認知症発症との関連を調査した。その結果、FIT陽性は、とくに65歳未満の人で認知症リスクの増加と関連が認められた。著者らは、FIT陽性者で悪性腫瘍が認められない場合、臨床医は認知症の可能性を考慮すべきであるとまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2023年1月12日号の報告。
韓国国民健康保険公団のデータベースを用いて、FIT陽性者の特定を行った。
主な結果は以下のとおり。
・すべての原因による認知症の発症率は、FIT陽性者のほうが陰性者よりも高かった(p<0.0001)。
・FIT陽性者は、陰性者と比較し、アルツハイマー病(p<0.0001)および血管性認知症(p=0.0002)のリスクが高かった。
・FIT陽性者におけるすべての原因による認知症(p<0.0001)またはアルツハイマー病(p=0.0002)のリスクは、65歳以上の人よりも65歳未満の人で高かった。
(鷹野 敦夫)