HR+/HER2-進行乳がん1次治療でパルボシクリブ+内分泌療法で奏効後に進行した患者の2次治療において、パルボシクリブを1次治療と異なる内分泌療法(2次内分泌療法)と併用しても、2次内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善しなかったことが第II相PALMIRA試験で示された。スペイン・Medica Scientia Innovation Research(MEDSIR)のAntonio Llombart-Cussac氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。
・対象:HR+/HER2-進行乳がんの1次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法(アロマターゼ阻害薬もしくはフルベストラント)を受け、臨床的有用性(奏効または24週間以上の安定)が得られた後に進行した患者、もしくはパルボシクリブベースの術後補助療法を12ヵ月以上受けた後、治療終了後12ヵ月以内に進行した患者 198例
・試験群(パルボシクリブ+ET群):パルボシクリブ+2次内分泌療法(1次内分泌療法に応じてレトロゾールまたはフルベストラント)136例
・対照群(ET群): 2次内分泌療法単独 62例
・評価項目:
[主要評価項目]治験責任医師によるPFS
[副次評価項目]全奏効率(ORR)、臨床的有用率(CBR)、全生存期間(OS)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・2019年4月~2022年10月に適格患者198例を2:1に無作為に割り付けた。データカットオフ(2023年2月2日)時点で追跡期間中央値は13.2ヵ月だった。
・治験責任医師評価によるPFS中央値は、パルボシクリブ+ET群4.9ヵ月、ET群3.6ヵ月で、PFSの改善はみられなかった(ハザード比[HR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.66~1.07、両側検定p=0.149)。
・すべてのサブグループのPFSにおいても同様だった。
・6ヵ月PFS率は、パルボシクリブ+ET群が42.1%、ET群が29.1%であった。
・内臓転移の有無別のPFSも、あり(121例)でのHRが0.79(95%CI:0.59~1.06、両側検定p=0.112)、なし(77例)でのHRが0.94(95%CI:0.62~1.42、両側検定p=0.767)と有意な改善はみられなかった。
・以前のパルボシクリブ治療期間別のPFSも、6~18ヵ月(28例)でのHRが0.93(95%CI:0.50~1.73、両側検定p=0.815)、12ヵ月以上(170例)でのHRが0.83(95%CI:0.63~1.07、両側検定p=0.154)と有意な改善はみられなかった。
・ORRおよびCBRに有意差はみられなかった。
・OSにおけるHRは1.06(95%CI:0.75~1.51、両側検定p=0.738)であった。
・新たな安全性シグナルは確認されなかった。
現在、CDK4/6阻害薬の継続投与により大きなベネフィットを受ける患者を調べるために、多くのバイオマーカー研究プログラムが進行している。
(ケアネット 金沢 浩子)