肝細胞がんへのアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用術後補助療法の患者報告アウトカム(IMbrave050)/ASCO2023

提供元:ケアネット

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公開日:2023/06/19

 

 肝細胞がん(HCC)に対するアテゾリズマブとベバシズマブの併用術後補助療法を評価するIMbrave050試験の探索的研究から、同レジメンは健康関連QOLや機能スコアに悪影響を及ぼさないことが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、近畿大学の工藤 正俊氏が発表したもの。

 追跡期間17.4ヵ月において、IMbrave050試験の主要評価項目である無再発生存期間(RFS)は、対照群と比較してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用群で有意に改善しており(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.56~0.93、p=0.012)、また、同併用療法の安全性についても既知の報告との一致していた。今回の発表は、患者報告アウトカム(PRO)に基づく追加解析である。

・対象:切除または焼灼療法後の再発高リスクHCC患者(668例)
・試験群:術後補助療法としてアテゾリズマブとベバシズマブを3週ごと12ヵ月または17サイクル投与(併用群、334例)
・対照群:経過観察(観察群、334例)
・評価項目:
[主要評価項目]独立評価機関(IRF)評価のRFS
[事前に設定された探索的PRO評価項目]全般的健康感(GHS)/QOL、身体・役割・感情・社会機能のベースラインからの変化(評価にはIL42-EORTC QLQ-C30が用いられた)

 主な結果は以下のとおり。

・追跡期間中、併用群、観察群とも93%超の患者において、IL42-EORTC QLQ-C30の実施が継続されていた。
・ベースラインにおけるGHS/QOL、身体機能、役割機能、感情機能、社会機能の平均スコアは両群でほぼ等しく、いずれも一般集団に比べて高いスコアを示していた。
・治療期間中17サイクルを通じ、併用群のGHS/QOL、身体機能、役割機能、感情機能、社会機能は維持され、どの時点においても臨床的に意味のある悪化は認められなかった。
・ベースライン時から17サイクル目までの変化は両群とも同等であった。

 発表者の工藤氏は、「アテゾリズマブとベバシズマブの併用は、再発高リスクHCCの術後補助療法の実臨床を変える治療選択肢となる可能性がある」と述べた。

(ケアネット)

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