アルコール摂取、大腸がんリスクが上がる量・頻度は?

提供元:ケアネット

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公開日:2023/07/26

 

 過度なアルコール摂取は大腸がん発症のリスクを増加させる可能性があることが示唆されているが、摂取量や腫瘍部位による差を検討した韓国の試験結果がJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2023年6月14日号に掲載された。

 この研究では、若年で発症する大腸がん(50歳未満で診断)のリスク要因を特定するため、1日のアルコール摂取量と早期発症大腸がんの関連性を調査した。2009年1月1日~2019年12月31日の韓国の国民健康保険サービスのデータを使用し、20~49歳の566万6,576例を対象に分析を行った。

 1日の飲酒量を下記のように定義し、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて調整ハザード比(aHR)と95%信頼区間(CI)を推定した。
・非飲酒者:男性0g、女性0g
・軽度飲酒者(基準):男性10g未満、女性10g未満
・中程度飲酒者:男性10~30g未満、女性10~20g未満
・多量飲酒者:男性30g以上、女性20g以上

 主な結果は以下のとおり。

・566万6,576例中、非飲酒者が41.6%、軽度飲酒者が28.0%、中程度飲酒者が20.4%、多量飲酒者が9.9%だった。
・追跡期間中に8,314例の早期大腸がんの発症があった。中程度飲酒者および多量飲酒者は、軽度飲酒者と比較して早期大腸がんのリスクが高いことが示された(中程度のaHR:1.09、95%CI:1.02~1.16、多量のaHR:1.20、95%CI:1.11~1.29)。
・腫瘍部位別のサブグループ解析では、遠位大腸がんではアルコール用量と正の相関関係が認められたが、近位結腸がんでは認められなかった。
・飲酒頻度と早期大腸がんリスクにも有意な関連があり、非飲酒者と比較して1~2日/週で7%、3~4日/週で14%、5日/週以上で27%リスクが増加した。

 研究者らは「過度のアルコール摂取が50歳未満での大腸がん発症のリスク増加に関連していることが示された。このことは効果的な介入を通じて若年者の過度の飲酒に対処することの重要性と、高リスク者に合わせたがん検診の必要性を強調している。アルコール摂取量など修正可能な危険因子を特定することで、若年層における大腸がん発症の予防戦略を開発できるだろう」としている。

(ケアネット 杉崎 真名)