「筋力トレーニングはつらいので嫌い」という人は、少なくないだろう。しかし1日3秒、週3日で効果があるとしたらどうだろうか。新潟医療福祉大学とオーストラリア・Edith Cowan Universityの研究グループは、1日3秒、週3日の全力の伸張性収縮(重りをゆっくりと降ろすなどの運動)を4週間実施することで、筋力が増加することを明らかにした。本研究結果は、吉田 麗玖氏(間庭整形外科医院)らによってEuropean Journal of Applied Physiology誌オンライン版2023年7月28日号で報告された。
健康な大学生26人を対象として、全力の伸張性収縮を1日3秒、週2日実施する群(週2日群)と1日3秒、週3日実施する群(週3日群)に均等に割り付け、4週間のトレーニングを実施した。4週間のトレーニング前後における短縮性収縮、等尺性収縮、伸張性収縮時の随時最大筋力の変化を群間比較した。また、上腕二頭筋、上腕筋の筋厚の変化も比較した。これらの結果は、先行研究において1日3秒、週5日のトレーニングを4週間実施した群(週5日群)1)とも比較した。
主な結果は以下のとおり。
・週2日群は、随時最大筋力に有意な変化はみられなかった。
・週3日群は、短縮性収縮および伸張性収縮時の随時最大筋力が有意に増加した(それぞれ2.5%、3.9%、いずれもp<0.05)。
・週5日群は、短縮性収縮および伸張性収縮時の随時最大筋力が有意に増加し(それぞれ12.8%、12.2%)、増加の大きさは週3日群よりも大きかった(いずれもp<0.05)。
・上腕二頭筋、上腕筋の筋厚に有意な変化は認められなかった。
本研究結果について、著者らは「1日3秒の全力の伸張性収縮によって筋力増加効果を得るためには、少なくとも週3日のトレーニングが必要であり、1週間当たりのトレーニング日数が多いほど、大きな筋力増加効果が得られることが示唆された」とまとめた。
(ケアネット 佐藤 亮)