飲酒で発症リスクが上がるがん、下がるがん~女性80万人の前向き研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/08/25

 

 アルコール摂取は一部のがん発症リスクの増加や減少に関連していると考えられている。今回、英国・オックスフォード大学のSarah Floud氏らが、前向き研究であるUK Million Women Studyで調査したところ、アルコール摂取量が増えると、上部気道・消化管がん、乳がん、大腸がん、膵臓がんのリスクが増加し、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫のリスクが低下する可能性が示された。また、この関連は、上部気道・消化器がんを除いて、喫煙、BMI、更年期ホルモン療法による変化はなかった。BMC Cancer誌2023年8月16日号に掲載。

 本研究では、がん既往のない閉経後女性123万3,177人(平均年齢56歳)において、中央値1998年(四分位範囲:1998~99年)での飲酒量の報告をがん発症の記録とリンクさせた。非飲酒と1杯/週未満の女性(43万8,056人)を除外した79万5,121人について、ベースライン時の飲酒量(ワイン1杯、ビール半パイント[284mL]、蒸留酒1メジャー[30mL]を1杯と換算)に応じて4つのカテゴリー(週当たり1~2杯、3~6杯、7~14杯、15杯以上)に分類。Cox比例ハザードモデルで、21種類のがんにおける飲酒量ごとの調整相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を推定した。喫煙、BMI、更年期ホルモン療法との相互作用の統計学的有意性は多重検定を考慮し評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・調査した79万5,121人の平均飲酒量は週6.7杯(SD:6.4杯)だった。
・17年(SD:5年)の追跡調査中に14万203人ががんを発症した。
・飲酒と上部気道・消化器がん(食道扁平上皮がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん)リスクとの間に強い関連がみられた(1杯/日当たりのRR:1.38、95%CI:1.31~1.46)。
・乳がん、大腸がん、膵臓がんと飲酒との間に中程度の正相関がみられた(1杯/日当たりの RR:乳がん1.12[95%CI:1.10~1.14]、大腸がん1.10[同:1.07~1.13]、膵臓がん1.08[同:1.02~1.13])。
・甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、腎細胞がん、多発性骨髄腫と飲酒との間に中程度の逆相関がみられた(1杯/日当たりのRR:甲状腺がん0.79[95%CI:0.70~0.89]、非ホジキンリンパ腫0.91[同:0.86~0.95]、腎細胞がん0.88[同:0.83~0.94]、0.90[同:0.84~0.97])。
・上部気道・消化器がんでは、飲酒と喫煙の間に有意な相互作用がみられた(1杯/日当たりのRR:現在喫煙者1.66[95%CI:1.54~1.79]、過去喫煙者1.23[同:1.11~1.36]、非喫煙者1.12[同:1.01~1.25])。
・BMIおよび更年期ホルモン療法は飲酒関連リスクに有意な変化をもたらさなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)