川崎こころ病院の植松 拓也氏らは、同施設の回復期リハビリテーション病棟に転院してくる患者さんの多くが、急性期病棟入院時にせん妄に対する向精神薬処方が行われている現状を踏まえ、精神科医、薬剤師、リハビリテーション医が協力し、向精神薬減量への取り組みを行った。その結果から、急性期病棟で処方されている向精神薬の種類および用量を回復期リハビリテーション病棟で減量できる可能性があることを報告した。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年10月26日号の報告。
対象は、2021年4月~2022年3月に川崎こころ病院の回復期リハビリテーション病棟を退院した患者88例。診療記録より基本的情報および向精神薬処方状況を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・入院時に向精神薬が処方されていた患者は55例(62.5%)であり、処方薬は2種類(中央値)であった。
・退院時に向精神薬が処方されていた患者は41例、処方薬は1種類(中央値)へと有意な減少が認められた(p<0.05)。
・入院時と比較した退院時の向精神薬処方量は、レンボレキサントは有意に高かったものの、抗精神病薬、ベンゾジアゼピン/非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗うつ薬、スボレキサント、ラメルテオン、バルプロ酸ナトリウムの処方は有意に低下した(p<0.05)。
著者らは、「この研究では患者数が限られており、患者の特性の違いによる選択バイアスが否定できないため、さらなる検討が必要である」としている。
(鷹野 敦夫)