すべての原因による死亡率や認知症を減少させるために、身体活動(PA)は有用である。しかし、アルツハイマー病リスクに対するPAの影響については、議論の余地が残っている。中国医科大学付属第一医院のXiaoqian Zhang氏らは、アルツハイマー病発症とPAとの根本的な影響を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Ageing Research Reviews誌2023年12月号の報告。
2023年6月までに公表された研究をPubmed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceより検索した。ランダム効果モデルを用いて、エフェクトサイズ(ハザード比[HR]、95%信頼区間[CI])を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・29件のプロスペクティブコホート研究(206万8,519例)をメタ解析に含めた。
・統合された推定値では、アルツハイマー病リスクの低下に対するPAの良好な効果を示唆していた(HR:0.72、95%CI:0.65~0.80)。
・この関連性は、最大交絡因子で調整した後でも、良好であった(HR:0.85、95%CI:0.79~0.91)。
・PA強度によるサブグループ解析では、PAとアルツハイマー病との間に逆用量反応関係が認められた。エフェクトサイズは、中程度PA(HR:0.85、95%CI:0.80~0.93)および高度PA(HR:0.56、95%CI:0.45~0.68)で有意だったが、軽度PA(HR:0.94、95%CI:0.77~1.15)では有意な差は認められなかった。
・すべての参加者または中年コホートとは無関係に、アルツハイマー病に対するPAの保護作用は、長期フォローアップ(15年以上)よりも短期フォローアップ(15年未満)でより有効であった。
・フォローアップ調査に加え、補足的なメタ解析、メタ回帰分析、感度分析においても、推定値の確実性が維持された。
著者らは「PA介入は、アルツハイマー病の発症リスクを減少させるが、フォローアップ期間が15年未満の中程度から高度なPAの場合において、その有効性が示されていることから、アルツハイマー病予防のための修正可能なライフスタイル因子として、条件付きでPAを普及させることが推奨される」としている。
(鷹野 敦夫)