「人生をエンジョイ」する人は認知症発症リスクが低い~JPHC研究

提供元:ケアネット

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公開日:2023/10/19

 

 人生をエンジョイすることは、自身の環境と楽しく関わる能力と関連しており、これは認知症リスクとも関連しているといわれている。順天堂大学の田島 朋知氏らは、日本の地域住民における人生のエンジョイレベルと認知症発症との関連を調査した。The Journals of Gerontology. Series B, Psychological Sciences and Social Sciences誌オンライン版2023年9月18日号の報告。

 対象は、Japan Public Health Center-based(JPHC)研究に参加した5年間のフォローアップ調査時点で45~74歳の日本人3万8,660例。心理的状態およびその他の交絡因子の特定には、自己記入式アンケートを用いた。認知症発症は、2006~16年の日本の介護保険(LTCI)制度に基づき評価した。Cox比例ハザードモデルを用いた、ハザード比[HR]および95%信頼区間[CI]を算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・フォローアップ期間中央値9.4年の間に認知症を発症した患者は4,462例であった。
・人生のエンジョイレベルは、認知症リスクとの反比例が認められた。
・多変量HRは、エンジョイレベルが低い人と比較し、中程度の人で0.75(95%CI:0.67~0.84、p<0.001)、高い人で0.68(同:0.59~0.78、p<0.001)であった。
・人生のエンジョイレベルの増加と認知症リスク低下との関連性は、低~中程度の精神的ストレスを抱えている人で最も強かった。
・精神的ストレスレベルが高い人では、脳卒中後の身体障害性認知症において関連性が明らかであったが、脳卒中歴のない身体障害性認知症では認められなかった。

 結果を踏まえ、著者らは「人生のエンジョイレベルが高い人は、とくに低~中程度の精神的ストレスを抱える人において、認知症発症リスクが低いことが示唆された。認知症リスクを軽減するためにも、精神的ストレスをマネジメントし、人生をエンジョイすることが重要である」としている。

(鷹野 敦夫)