非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、欧米では2023年6月より病名と分類法を変更)の発症年齢は低下傾向にあるが、年齢が異なる約6万4,000例を対象としたコホート研究において、NAFLDはがんリスク上昇と関連し、発症年齢が若いほどがんリスクが高いことが示された。中国・首都医科大学のChenan Liu氏らによる本研究の結果はJAMA Network Open誌2023年9月25日号に掲載された。
2006~21年にKailuan Cohort Studyに参加した17万9,328例から、計4万6,100例のNAFLD発症例が同定された。各症例について、年齢および性別でマッチさせた参加者を無作為に選択して新たな研究コホートを作成、NAFLDの発症年齢とさまざまながん種のリスクとの関連を重み付けCox回帰モデルを用いて評価した。異なる年齢におけるNAFLDとがんリスクとの関連を定量化するため、人口寄与割合(Population Attributable Fraction:PAF)を用いた。データ解析は2022年12月~2023年4月に行われた。
主な結果は以下のとおり。
・6万3,696例(平均年齢51.37[SD:12.43]歳、男性5万2,764例[82.8%])が組み入れられ、3万1,848例がNAFLD群、同数が対照群となった。
・中央値10.16(四分位範囲[IQR]:7.89~11.67)年の追跡期間中に2,415例ががんと診断された。NAFLD発症時の年齢が45歳未満の患者は高いがんリスクを示し(調整ハザード比[aHR]:1.52、95%信頼区間[CI]:1.09~2.12)、NAFLDの発症年齢が高くなるにつれがんリスクは低下した(45~54歳のaHR:1.50、95%CI:1.15~1.97/55~64歳のaHR:1.13、95%CI:0.97~1.33/65歳以上のaHR:0.75、95%CI:0.45~1.27)。
・NAFLD発症時の年齢が45歳未満の患者では、発症したがんは主に消化器がんと肺がんで、aHRは2.00(95%CI:1.08~3.47)と2.14(95%CI:1.05~4.36)であった。
・NAFLD発症時の年齢が45歳未満の患者では、がんリスクの17.83%(95%CI:4.92~29.86)がNAFLDに起因することが示された。
著者らは、本研究により、早期発症NAFLDががんリスクの上昇と関連していることが明らかになり、NAFLDの進行に適時に介入することが、NAFLD関連がんの発生率の低下および公衆衛生上の負担の軽減と関連する可能性を示唆している、とした。
(ケアネット 杉崎 真名)