川崎病、3歳以上の罹患は30年で5倍に

提供元:ケアネット

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公開日:2024/02/28

 

 川崎病は小児および青年の後天性心疾患であり、日本で初めて報告された。50年にわたる研究にもかかわらず、その原因はまだ特定されていない。日本における川崎病患児を対象に、過去30年間の年齢・地域・季節性と罹患率の相関を調査した研究が行われた。米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校のLaurel L. DeHaan氏らによる本研究は、JAMA Network Open誌2024年2月6日号に掲載された。

 研究者らは、日本全国の川崎病を診療する病院を対象とした全国調査データを用いた横断的研究を行った。1970~2020年に川崎病で入院した患児42万2,528例が対象となり、2022~24年にデータを解析した。患児を乳児(生後6ヵ月未満)、幼児(6~24ヵ月未満)、2歳児(24~36ヵ月未満)、3歳以上児(36ヵ月以上)に層別化し、データを解析した。

 主な結果は以下のとおり。

・42万2,528例の患児(男児57.7%、年齢中央値23.69ヵ月)のうち、乳幼児の平均罹患率は30年間比較的安定していたが(1987~92年を1として、ピークの2011~16年は2.05)、3歳以上児は5倍超となった(1987~92年を1として、ピークの2014~19年は5.17)。
・一方で、3歳以上児では、2014年10月~15年6月および2018年7月~19年3月の5.71から、2016~17年の4.69と、乳幼児にはない減少がみられた(17.8%減)。
・季節的サイクルは年齢層によって異なり、乳児では平均罹患数のピークは7月と8月(5.63例/10万人)、幼児では12月と1月(4.67例/同)であった。
・幼児の平均罹患率は2010年代初めに大きく変化した。たとえば、10月の幼児の平均罹患率は1992~95年は0.74だったのが、2016~19年は1.10になった。
・罹患率と季節的サイクルの相関指数について、3歳以上児は14都道府県で0.78と高い値を示したが、乳幼児のそれははるかに低かった(最高で0.43)。

 研究者らは、「乳児は30年にわたって罹患数があまり変化していない一方で、3歳以上児は5倍以上増加していた。3歳以上児は4月と6月にも季節的周期のピークがあり、これは学校暦と関連している可能性がある。これらの観察結果は、兄姉から下の子へのヒトからヒトへの感染や、下の子が家庭外の要因にさらされる機会の増加など、川崎病曝露における社会的要因の重要性を示唆している」とした。

(ケアネット 杉崎 真名)