ホモ接合体家族性高コレステロール血症治療薬、エヴキーザ発売/ウルトラジェニクス

Ultragenyx Japan(ウルトラジェニクスジャパン)は2024年4月17日付のプレスリリースで、ホモ接合体家族性高コレステロール血症(HoFH)に対する治療薬「エヴキーザ点滴静注液345mg(一般名:エビナクマブ[遺伝子組換え]、以下エヴキーザ)」の販売を同日より開始したことを発表した。
HoFHは、きわめてまれな遺伝性疾患であり、重度の高コレステロール血症(血清総コレステロール値450mg/dL超)により、早発性の心血管系疾患や未治療の患者における若年死亡を引き起こすことがある。わが国では、HoFHは指定難病の1つとされ、2022年度の特定医療費(指定難病)受給者証保持者数は全国で398例と報告されている1)。
HoFHに対しては食事療法、LDLアフェレーシスや脂質低下薬による治療が行われるが、現在の治療法では効果が不十分な場合も多く、新たな治療選択肢が求められていた。
このたび、新たなHoFH治療薬として登場したエヴキーザは、脂質代謝において重要な役割を果たすタンパク質であるアンジオポエチン様タンパク質3(ANGPTL3)※に結合し、その機能を阻害する初めての遺伝子組換えヒトモノクローナル抗体である。本剤はLDL受容体の有無と関係なくLDL-C値を低下させる。
本剤の発売について、大阪医科薬科大学 循環器センター特務教授の斯波 真理子氏は、「この難治性疾患を持つ私の患者で他の患者や家族の声を代弁する立場の方は、“HoFH患者の中には、日々の治療の負担に苦しみ、また治療の効果が十分に現れていない方も少なくない。より良い治療に向けて選択肢が増えることは、患者にとって大きな希望になる”と期待を寄せている」と述べた。
※ANGPTL3は肝臓で合成される血中タンパク質で、リポタンパクリパーゼ(LPL)および血管内皮リパーゼ(EL)を阻害することにより脂質代謝の調節に重要な役割を果たす。
(ケアネット 原口 奈々)
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