アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)治療を1年間行ったアルツハイマー病患者の治療アウトカムについて、台湾・Kaohsiung Veterans General HospitalのPao-Yuan Ching氏らが、調査を実施した。Aging Medicine誌2024年6月18日号の報告。
2015年1月〜2021年9月の電子カルテデータを、台湾南部の医療センターより入手した。対象は、新たにアルツハイマー病と診断され、AChEIによる治療を行った60歳以上の患者。認知機能評価は、AChEI治療前および治療1年後のフォローアップ調査時に実施した。認知機能低下は、AChEI治療1年後のミニメンタルステート検査(MMSE)が3超低下または臨床的認知症尺度(CDR)1以上低下と定義した。ベースライン時とフォローアップ調査後の認知機能の関係は、潜在的な交絡因子で調整したのち、ロジスティック回帰分析を用いて検討した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者数は、1,370例(平均年齢:79.86±8.14歳)。
・調整後、認知機能低下群でBMIが有意に低いことが明らかとなった(調整オッズ比[aOR]:0.970、95%信頼区間[CI]:0.943〜0.997、p=0.033)。
・認知機能低下群では、抗精神病薬の使用率が有意に高かった(aOR:1.599、95%CI:1.202〜2.202、p=0.001)。
・認知機能低下群では、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用率も高い傾向が認められた(aOR:1.290、95%CI:0.996〜1.697、p=0.054)。
著者らは「AChEI治療1年後の認知機能低下に対し、BMIの低さ、抗精神病薬やベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用が影響を及ぼしている可能性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)