グマロンチニブは、METチロシンキナーゼのATP結合部位を選択的かつ競合的に阻害する薬剤であり、既存のテポチニブ、カプマチニブと同様の作用機序を有する。グマロンチニブは、MET遺伝子exon14スキッピング変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)を適応とする薬剤として、本邦では2024年6月に製造販売承認を取得し、同年10月に発売された。本承認の評価試験である国際共同第Ib/II相試験「GLORY試験」1)の第II相パートにおける、全体集団および日本人集団の結果について、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院)が第65回日本肺癌学会学術集会で報告した。
試験デザイン:国際共同第Ib/II相試験(今回は第II相試験の試験デザインと結果を示す)
対象:未治療または2ラインまでの前治療歴があり、MET遺伝子exon14スキッピング変異陽性のStageIIIB~IVのNSCLC患者84例(日本人:10例)
投与方法:グマロンチニブ 300mg(1日1回、経口)を病勢進行または許容できない毒性の発現まで
評価項目:
[主要評価項目]盲検下独立中央判定(BICR)に基づく奏効割合(ORR)
[副次評価項目]病勢コントロール割合(DCR)、奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)など
主な結果は以下のとおり。
・対象患者84例の背景は、男性が57%(日本人集団:60%)、腺がんが75%(同:80%)、StageIVが87%(同:100%)、前治療歴ありが45%(同:20%)などであった。
・有効性解析対象集団は79例(日本人集団:8例)であった。
・主要評価項目のBICRに基づくORRは、全体集団が66%、日本人集団が75%であった。
・DCRは、全体集団が84%、日本人集団が100%であった。
・前治療歴の有無別にみたBICRに基づくORRは、未治療の集団(44例[日本人集団:7例])では71%(日本人集団:71%)、前治療歴ありの集団(35例[同:1例])では60%(同:100%)であった。
・DOR中央値は、全体集団が8.3ヵ月、日本人集団が5.0ヵ月であった。
・PFS中央値は、全体集団が8.5ヵ月、日本人集団が7.6ヵ月であった。
・全体集団における主な治療関連有害事象(30%以上に発現)は、浮腫(80%)、低アルブミン血症(38%)、食欲減退(32%)、頭痛(32%)であった。日本人集団で2例以上に発現したGrade3以上の治療関連有害事象は浮腫(2例)のみであった。
・投与中断に至った有害事象は全体集団で40%、日本人集団で40%に発現した。減量に至った有害事象は全体集団で37%、日本人集団で60%に発現した。
本発表の結語として、後藤氏は「主な有害事象として、浮腫や低アルブミン血症があるが、それらを休薬や減量などで上手にマネジメントすることで、長期にわたってグマロンチニブを患者さんへ届けていただきたい」と述べた。
(ケアネット 佐藤 亮)