前臨床および臨床研究によると、手頃な価格で入手可能な栄養補助食品クレアチン一水和物は、従来の抗うつ薬治療において有用な補助療法となりうる可能性がある。英国・グラスゴー・カレドニアン大学のNima Norbu Sherpa氏らは、うつ病に対する認知行動療法(CBT)に加え、クレアチンまたはプラセボを8週間投与した場合の有効性を比較するため、二重盲検ランダム化プラセボ対照パイロット試験を実施した。European Neuropsychopharmacology誌2025年1月号の報告。
うつ病患者100例を対象に、クレアチン+CBT群50例またはプラセボ+CBT群50例にランダムに割り付けた。主要な有効性アウトカムは、こころとからだの質問票(PHQ-9)スコアの変化とし、混合モデル反復測定共分散分析を用いて評価した。許容性(すべての原因による治療中止)、忍容性(有害事象による治療中止)、安全性(有害事象が認められた患者数)の評価には、ロジスティック回帰を用いた。年齢、性別、ベースライン時のうつ病スコアにより調整したエフェクトサイズを算出した。
主な結果は以下のとおり。
・対象患者100例の平均PHQ-9スコアは17.6±6.3、女性は50例、平均年齢は30.4±7.4歳。
・治療8週間後、PHQ-9スコアは両群ともに低下していたが、クレアチン+CBT群のほうが有意な低下が認められた(平均差:−5.12)。
・すべての原因および有害事象による治療中止、有害事象が認められた患者の割合は、両群間で同等であった。
著者らは「本試験では、クレアチンは、うつ病患者に対するCBTの補助療法として有効かつ安全であることが示唆された」とし、「今後、より長期かつ大規模な臨床試験が必要とされる」としている。
(鷹野 敦夫)