再発/難治(R/R)濾胞性リンパ腫(FL)では、抗CD-20抗体併用療法であるレナリドミド(len)とリツキシマブ(R)が用いられる。
そのような中、R/R FLにおける抗CD-19抗体tafasitamabのlen+Rへの上乗せ効果を評価する第III相inMIND試験が行われている。同試験の初回解析結果を、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のLaurie H. Sehn氏が第66回米国血液学会(ASH2024)で発表した。
・試験デザイン:第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験
・対象:グレード1~3Aの成人R/R FL(または辺縁帯リンパ腫)、抗CD-20抗体療法を含む1ライン以上の前治療歴あり
・試験群:tafasitamab(12mg/kg)12サイクル(1~3サイクルは毎週、4~12サイクルは2週ごと)+len(20mg)12サイクル(Day1~21連日)+R(375mg/m2)5サイクル(1サイクルは毎週、2~5サイクルは4週ごと)(TAFA群、273例)
・対照群:プラセボ+len+R(PBO群、275例)
・評価項目:
【主要評価項目】治験医師評価の無増悪生存率(PFS)
【副次評価項目】PET-CR率、全生存率(OS)、独立評価委員会(IRC)評価のPFS、全奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、後治療までの期間(TTNT)、安全性など
主な結果は以下のとおり。
・患者の年齢中央値は64歳(75歳以上19.7%)、FLIPI(中等度・高リスク濾胞性リンパ腫国際予後指標)3~5が52.4%、GELF(Groupe d’Etude des Lymphomes Folliculaires)高腫瘍量規準該当が82.8%、POD24(初回化学療法後24ヵ月以内の再発・増悪)は31.6%と比較的高リスクな集団であった。
・追跡期間中央値14.1ヵ月時点のPFS中央値はTAFA群22.4ヵ月、PBO群13.9ヵ月(ハザード比[HR]:0.43、95%信頼区間[CI]:0.32~0.58、p<0.0001)と有意にTAFA群で良好であった。
・PFSはすべてのサブグループにおいてTAFA群が優れていた。
・PET-CR率はTAFA群49.4%、PBO群39.8%(オッズ比[OR]:1.5、95%CI:1.04〜2.13、名目上p=0.0286)と有意にTAFA群で良好であった。
・ORRはTAFA群83.5%、PBO群72.4%(OR:2.0、95%CI:1.30〜3.02、名目上p=0.0014)と有意にTAFA群で良好であった。
・頻度の高いGrade3/4の試験治療下における有害事象(TEAE)は好中球減少(TAFA群39.8%、PBO群37.5%)、肺炎(それぞれ8.4%、5.1%)などであった。
・TEAEによる投与中止は、TAFA群の11%、PBO群の7%にみられた。
inMINDはR/R FLに対して初となる、抗CD19と抗CD20という2つの抗体を併用した試験としても評価される。レナリドミド・リツキシマブ併用へのtafasitamabの上乗せは、R/R FLに対する新しい標準治療としての将来性を示した、とSehn氏は結んだ。
(ケアネット 細田 雅之)